米国メディアの悪意と日本メディアの無能
トランプ大統領の顧問弁護士であり、元ニューヨーク市長のジュリアーニをCNN社長が「便利な馬鹿」とレッテル貼りし、彼に支持される大統領がいかに異常かを印象付ける方向で記事を出そうと話している音声がリークされた――。
米国の主流メディアは死んだ、と言われても仕方がないだろう。客観的で公正な報道姿勢などかなぐり捨て、トランプ大統領に対する悪意に満ちた報道が溢れかえった。
一方、日本のメディアはどうだったか。
欧米主流メディアの報道を訳すだけで、ジャーナリズムの体をなしていないと断罪せざるを得ない。
特に驚き、失望したのが、ワシントン・ポストが「トランプ大統領がジョージア州のラフェンスパーガー州務長官に電話で投票結果の改ざんをするように圧力をかけた」という記事(1月3日)を日本のメディアがそのまま訳して報道したことだった。
私はこの記事を見て、すぐに音源を探し、トランプ大統領とラフェンスパーガー州務長官の間で交わされた1時間ばかりの会話を自分で聞いて確認した。そして、改めてワシントン・ポストの悪意と、日本のメディアの無能ぶりに怒りを覚えた。
トランプ大統領はジョージア州で確認された様々な不正行為の具体例を挙げ、それらに係る票の総数はバイデンとの得票差である1万1779票を遥かに上回り、1万2000票でも戻ってくれば十分に逆転できると繰り返し述べているが、投票結果を改ざんしろとは決して言っていない。公正に調査すれば容易に逆転できるはずだと言っているだけだ。
一方、ラフェンスパーガー州務長官の対応は極めて無礼であり、ぞんざいだった。トランプが何を聞いても、「調査したら問題なかった」と言うばかりで、詳細に答えようとはしない。
「ジョージアでは少なくとも5000人もの死者が投票している。死亡通知書を調べたんだ」
「大統領、こちらで調べたら、投票した死者は2人だけでした」
こんな調子だ。
話題になった監視カメラが捉えた開票スタッフの不審な行動もトランプが言及した。
水道管破裂があったという虚偽の理由で選挙監視人が帰宅させられた後も開票作業が続けられ、テーブルの下から票が詰まったスーツケースが取り出されたり、スタッフが同じ票を何度もスキャンしたりしている様子が映っていた件である。
これについてラフェンスパーガー州務長官は一言、「調べた結果、同じ票を何度もスキャンした事実はないと結論しました」とだけ答え、「なぜ監視人が不在のまま作業しているのか?」というトランプの質問には一切答えなかった。
実際の会話はこのようなものだったが、ワシントン・ポストはあたかもトランプが理不尽な要求を繰り返し、投票結果の改ざんをするよう圧力をかけたという印象操作を行った。