日本でも進む習近平の『目に見えぬ侵略』|クライブ・ハミルトン

日本でも進む習近平の『目に見えぬ侵略』|クライブ・ハミルトン

岸田総理に教えたい習近平の手口。中国の報復を恐れ出版停止が相次いだ禁断の書『目に見えぬ侵略』の著者が緊急警告!中国人による多額の献金、中国のエージェントと化した国会議員――オーストラリアで行われたことは日本でも確実に進行中だ!日本よ、目を醒ませ!


世界に大きな苦しみをもたらす

今回の新型コロナウイルス問題でも、国際社会は中国共産党の不透明性をつくづく思い知らされました。  

ウイルス発生に対する北京の反応で明らかになったのは、中国共産党が情報統制を失うことをきわめて恐れていた点です。これは中国政府が初動段階で、一般の人々に警鐘を鳴らし、情報を提供しようとしていた医師や科学者に対して、非常に懲罰的なアプローチを採用していたことからもよくわかります。  

北京は国際社会全体を欺こうと必死に動いていたのであり、その結果として世界に大きな苦しみをもたらすことになりました。  

私が中国問題に関心を持ったのは最近のことです。2016年頃からオーストラリアに対する中国共産党の介入が気になり、まず国内の中国専門家、特に中国共産党の影響工作に詳しい人々に話を聞きました。彼らは驚くほど協力的で、取材していろいろな文献を教わり、段々と全体像がまとまってきたので、さらに中国本土や香港、アメリカなどに出向いてインタビューを繰り返し、最終的に膨大な量の文献を読み込み、ようやく完成形が見えてきたのです。

Getty logo

『目に見えぬ侵略』の執筆開始

そこで、『目に見えぬ侵略』(飛鳥新社)の執筆を開始しました。2016年10月のことです。この年の夏頃からオーストラリアの新聞で、中国共産党が豪州政治に影響を与えようとしているという記事がいくつか出始めていました。そのため、過去に私の本を何冊か出してくれていた出版社の旧知の編集者に声をかけると、「素晴らしいアイディアだ、すぐやりましょう」という返事だったので、書き始めたのです。  

リサーチと執筆に2017年の丸1年間をかけ、草稿が完成したあとに3~4人の専門家に読んでもらいました。私にとって新しい分野ですし、専門家にチェックしてもらい、間違いや抜けがないか、調査が足りないところはどこか、教えてもらいました。

関連する投稿


【処理水】国際社会に問え!「日本と中国、どちらが信頼できるか」|上野景文

【処理水】国際社会に問え!「日本と中国、どちらが信頼できるか」|上野景文

福島第一原子力発電所の処理水放出を開始した途端、喧しく反対する中国。日本はどのように国際社会に訴えるべきか。


イーロン・マスクが激奨する38歳の米大統領選候補者|石井陽子

イーロン・マスクが激奨する38歳の米大統領選候補者|石井陽子

米史上最年少の共和党大統領候補者にいま全米の注目が注がれている。ビべック・ラマスワミ氏、38歳。彼はなぜこれほどまでに米国民を惹きつけるのか。政治のアウトサイダーが米大統領に就任するという「トランプの再来」はなるか。


今にも台湾侵略が起きてもおかしくない段階だ|和田政宗

今にも台湾侵略が起きてもおかしくない段階だ|和田政宗

台湾をめぐる中国軍の「異常」な動きと中国、ロシア、北朝鮮の3国の連携は、もっと我が国で報道されるべきであるが、報道機関はその重要性が分からないのか台湾侵略危機と絡めて報道されることがほとんどない――。台湾有事は日本有事。ステージは変わった!


中国の金融危機でリーマン級災厄の恐れ|田村秀男

中国の金融危機でリーマン級災厄の恐れ|田村秀男

国内金融規模をドル換算すると、2022年に38兆ドルの中国は米国の21兆ドルを圧倒する。そんな「金融超大国」の波乱は米国をはじめ世界に及ぶ。


親日国パラオに伸びる中国の〝魔の手〟|和田政宗

親日国パラオに伸びる中国の〝魔の手〟|和田政宗

パラオは現在、中国による危機にさらされている。EEZ(排他的経済水域内)に海洋調査船などの中国公船が相次いで侵入しており、まさに日本の尖閣諸島周辺に近い状況となっている――。(サムネイルは筆者撮影)


最新の投稿


【今週のサンモニ】厚顔無恥な暴走は止まらない|藤原かずえ

【今週のサンモニ】厚顔無恥な暴走は止まらない|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。過去の番組の論調を忘れたかのような厚顔無恥なコメントを連発。


「ニュー岸田」の誕生か? 財務省に抗い速やかに減税を!|和田政宗

「ニュー岸田」の誕生か? 財務省に抗い速やかに減税を!|和田政宗

「岸田内閣は負担増内閣」「国民生活の実態を分かってない」との声が届いたのか、岸田文雄総理が新たな経済対策を打ち出した――。実現か失望か、岸田政権としてまさにここが正念場である。(サムネイルは首相官邸HPより)


なべやかん遺産|「コレクションの飾り方」

なべやかん遺産|「コレクションの飾り方」

芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「コレクションの飾り方」!


【処理水】国際社会に問え!「日本と中国、どちらが信頼できるか」|上野景文

【処理水】国際社会に問え!「日本と中国、どちらが信頼できるか」|上野景文

福島第一原子力発電所の処理水放出を開始した途端、喧しく反対する中国。日本はどのように国際社会に訴えるべきか。


【レジェンド対談】出版界よ、もっと元気を出せ!|田中健五×木滑良久

【レジェンド対談】出版界よ、もっと元気を出せ!|田中健五×木滑良久

マガジンハウスで『BRUTUS』『POPEYE』などを創刊した名編集者・木滑良久さんが亡くなりました(2023年7月13日)。追悼として、『文藝春秋』で「田中角栄研究」を手掛けた田中健五さん(2022年5月7日逝去)との貴重な対談を『Hanada』プラスに特別公開! かつての出版界の破天荒さ、編集という仕事がどれだけおもしろいのか、そして木滑さんと田中さんがどのような編集者だったのかを知っていただければうれしいです。