人口の多いところvs少ないところ|電脳三面記事

人口の多いところvs少ないところ|電脳三面記事

ビル・ゲイツの妹(という設定)のライターが、ネットで話題になった事を斬りまくる、人気連載「電脳三面記事」。コロナ禍によって始まった「新しい日常」ですが、それによって人口の多いところvs人口の少ないところの対立が始まり、それが後世に禍根を遺すことになる??


PDFを送ってみれば文明開化の音がする

交流試合という名の夏の甲子園が開幕したり、大河ドラマも再開したりで、インドア派にとってはなんとなくいつも通りの2020年の夏です。

でも、先日はついに、頑なに「請求書は郵送ください」とおっしゃっていたいくつかの会社が「メールで送ってください」と言うようになりました。出社しなくなったのでしょうね。ようやく文明開化の音がしたなあ、この気持ち、どこかで味わったことがあるなあと思っていましたら、老舗企業からの確認書類がファクスからPDF添付に変わったときの、あの爽快感でした。

ファクスを捨てきれなかった理由はわかりませんが、郵送を捨てきれなかったのは、そこにはんこが付かれていなければならなかったからでしょう。でも、はんこなんてコロナの前には風前の灯火ですよ。はんこのために出社して万一のことがあったら労災扱いになるんですかという話です。

でも、はんこ議連のお偉いさんがIT担当大臣だなんて、その後の噴出する矛盾の連なりから見れば序の口でしたね。どちらが強いのかよく分からないまま、使う側が使う側の判断で、矛を振り回したり盾で攻撃から身を守ったりしなくてはならない、そんな時代を生きています。

元に戻りつつあるのは家の中だけでして、外へ出ればやはり新しい日常。

先日、仕事でやむなく東北某県へ参りましたところ、東京から来た人は居室に入れられないということで、廊下の隅に椅子を置いた、狭いけれども楽しいスペースでのご対応となりました

こちらとて「このようなご時世ですからリモートでいかがでしょう」と何度も申し上げたのですが「来てほしい」と。でも、「廊下より中へは入って欲しくない」と。トップと現場が異なる意見を持っていることの表れと解釈しましたが、今後、その某県の農産物などを見たときに、私の心がどう動くのか、楽しみでもあります。すくなくとも、ふるさと納税はしないでしょうね。

行動半径の狭い私ですらこんな具合ですから、都道府県間、もっとはっきり言えば人口の多いところvs人口の少ないところの対立は後世に禍根を遺すこと間違いないでしょう

会津と長州のように、ではありません。あれは、地域と地域の対立でしたが、今回は、個人と個人の対立、もっと言えば、ふるさとから人口の多いところ、はっきり言えば東京に出てきた人物と、そのふるさととの対立になるからです。

「これからは地方の時代」の地方はどこだ?

お盆なんだから帰るのが当たり前だと親に言われて帰ってみれば、近所の人から「非常識」と貼り紙をされる(例・青森)。嬉しいはずがありません。貼る方を擁護するなら、もしも感染したらプライバシーが守れなくなる(例・山梨)ことを恐れているのでしょうが、親と故郷の間で板挟みになっている人にしてみれば、憲法二十二条はわかるけれど、GOTOなのか都内から出てほしくないのか、はっきりしてほしいでしょう。

春先の会社員ですね。国がダメって言ってるから在宅勤務なんです、私は行きたいんですけど上がどうしてもと言うので、という免罪符が欲しいのです

ところが、この有様ですよ。

社長と部長の言ってることが違って仕事の方針が見えないから会社を辞めるのと、政府と都の言っていることが違って社会秩序維持の方針が見えないから住民を辞めるというのでは、どちらが精神的なハードルが高いでしょう。

後者かなあ。転職先に比べると、だったらここに住めばいいという、矛盾していない土地がないし、あったらあったで社長の言い分があれですからね。

出社という前提が崩れたことで、これからは地方の時代だと浮かれている方々もいるようですが、その地方とはどこなのか。

先日は森永卓郎先生が移住した“地方”が、プロ野球球団の本拠地であり、大出版社の拠点が開設されたばかりの所沢であることが判明し物議を醸しましたが、つまりみんなが住みたいのは、暮らすコストがそれほど高くなく、周辺住民とのつきあいが濃密すぎないという、地方と都心のいいとこどりみたいなユートピアで、そんな地域があれば誰も旗を振らなくても首都移転できるくらいにそこへ人が移動するでしょう

地域と地域ではなく、地域と個人の禍根なので、その個人の命が潰えたら、禍根そのものも潰えるでしょう。私がどれだけ、嫌な思いをさせられたアノ会社とアノ会社とアノ会社のものだけは買わないと誓っていても、それがムーブメントとはならないのと同じです。

期間が短いぶん、深いけどね。

自分および実家をハブにしたふるさとを嫌った人は、夏の甲子園、じゃなかった交流試合を見るとき、どこを応援するのでしょう。

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