米の対中強硬方針は日本への戒め|田久保忠衛

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ポンペオ米国務長官がカリフォルニア州のニクソン図書館で行った「共産主義中国と自由世界の将来」と題する演説の真意とは何か。日本の政財界指導者にとって、ポンペオ演説は頂門の一針になろう。


7月23日にポンペオ米国務長官がカリフォルニア州のニクソン図書館で行った「共産主義中国と自由世界の将来」と題する演説は、トランプ政権の対中政策の中でも一時期を画する意義があったと思われる。

同長官が言わんとするところは、14億人の人民よりも党およびその指導者の利益を考えている中国共産党の行動は民主主義国とは相いれないので、「関与政策」は転換するとの宣言だ。米政府要人の対中演説は一昨年と昨年の2回にわたるペンス副大統領に続き、今年6月以降、オブライエン大統領補佐官、レイ連邦捜査局(FBI)長官、バー司法長官と続けざまに行われた。

7月20日付当欄では、軍事行動を含むあらゆる分野での米国の「巻き返し」を紹介したが、合わせて観察すれば、米国はいかに本気かが分かるだろう。

関与政策に終止符

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関与政策の具体的内容が明らかになったのは、冷戦にほぼ勝利を収め、湾岸戦争にも勝ったブッシュ大統領(父)が崩壊後のソ連の民主化をはじめとする「新しい世界秩序」を構想した1991年にさかのぼる。この構想に基づいて共産主義国家中国を国際経済システムに取り込んで民主化する必要があると説いたのは、ベーカー国務長官だった。ポンペオ演説はこれに終止符を打つとの宣言だ。代わりに民主主義国家による新たな同盟が必要だとポンペオ長官は提案した。

トランプ政権が強硬になったのは、コロナウイルス騒ぎの最中に中国が南シナ海や東シナ海での行動を活発化し、香港で国家安全維持法を施行し、インドとの国境で武力衝突を引き起こし、豪州に対しては経済制裁を科すなどの異常な行動を一斉に開始したからだ。

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