「実子誘拐ビジネス」の闇 ハーグ条約を“殺した”人権派弁護士たち|池田良子

「実子誘拐ビジネス」の闇 ハーグ条約を“殺した”人権派弁護士たち|池田良子

「実子誘拐」告発キャンペーン第2弾!なぜ日本は「子どもの拉致国家」と呼ばれているのか。その裏には、ハーグ条約を“殺した”人権派弁護士たちの暗闘があった――。なぜ人権派は共同養育に反対するのか。子どもの権利をどう考えているのか。海外のケースだけではない。国内でも「実子誘拐」は日常的に行われているのだ。実名告発!誰も触れられなかった禁断の扉がついに開かれる!


でっちあげDV3点セット

芝池弁護士の提示した3つの「証拠」は、まさに日本国内で人権派弁護士らがDVの捏造を指南する時に利用する3点セット。

病院の診断書は、「ストレス性腸炎」などの病名で頼めばすぐに発行してもらえる。DVシェルターに「入っていた」という事実も、日本の裁判所では証拠になる。警察や婦人相談所へ「相談した」という事実も証拠として使える。この3点を使えば、まったくDVがなかったとしても簡単にDVの証拠を捏造できるし、日本の裁判所はDVの事実認定をしてくれる。

つまり、芝池弁護士が言いたいことは、自分の指導に従い日本に子どもを誘拐してくれば、あとはDVを子の返還拒否事由に入れ込んだ「国内実施法」と、虚偽のDVでも事実認定する「日本の裁判所」の運用とを利用して子どもを返還しないで済むのだ、ということであろう。

2011年、米国ABC放送で日本人による実子誘拐が報道された。そのなかで、日本人の妻が子を誘拐し、日本に帰国したあとに米国人の夫に宛てたメールが出てくる。そのメールには、「Now it's time to start this game in Japanese rules」(さあ、日本のルールでゲームを始めるよ)と誇らしげに書いてある。

これは、ハーグ条約に日本が加盟する前のやりとりだが、現在も状況はほとんど変わりがない。

つまり、日本はハーグ条約に入ったにもかかわらず、ハーグ条約加盟前と同様に「日本のルール」で実子誘拐ができる。まさに、芝池弁護士が言うとおり、これが「日本の裁判所、日本のハーグの事件の特色」なのである。

そして、いみじくも上記のメールに書いてあるように、実子誘拐犯とその支援をする人権派弁護士らにとって、これは「ゲーム」である。

そして、彼らがゲームを楽しむしわ寄せを最も受けているのが子どもたちなのだ。

このハーグ条約を骨抜きにする国内実施法を策定した経緯については、2014年5月9日の公明新聞の記事で明らかにされている。この記事には「ハーグ条約国内実施法 法律制定 そのとき公明は~子の利益守り、DV被害者への支援強化盛り込む」との見出しで、外務省出身の山本香苗議員らの活躍などが書かれている。

その記事のなかには、「条約締結に当たり、懸案とされる事項を国内実施法でいかに解決していくか。公明党は法整備の議論では、DV被害者など、条約締結を不安視する国民の声に一つ一つ対応していった。その取り組みの中で『子の心身に重大な危険がある時』は返還を拒否できる規定の実効性の担保を主張。懸念事項について政府と数度にわたる折衝を重ねる中で法案に盛り込まれていった」旨の記載がある。

なお、この記事には、国内実施法制定時にハーグ条約を骨抜きにするために尽力した公明党に感謝する文章を、全国女性シェルターネットの土方聖子が寄稿している。

人権派はなぜハーグ条約に反対するのか

土方といえば、月刊『Hanada』5月号「『実子誘拐ビジネスの闇』~人権派弁護士らのあくどい手口」の記事で、虚偽DVのビラを撒いたことで名誉毀損で訴えられた者として挙げられている人物。

公明新聞の記事のなかで土方は、「条約の締結方針を発表した当時は、私たちが意見を言う場があまりありませんでした」と言っている。たしかに土方たちはハーグ条約締結に反対したにもかかわらず、ハーグ条約が締結された経緯がある。

ハーグ条約を日本政府が締結する際に反対派が結成した「ハーグ慎重の会」というものがある。そのメンバーを見ると、全国女性シェルターネットのメンバーのほか、上記の月刊『Hanada』記事に名誉毀損の被告として挙げられている赤石千衣子や弁護士の本田正男などの名前を見ることができる。同じく、被告である千田有紀の学生時代の指導教官である上野千鶴子の名前もある。

なぜ、彼女らはハーグ条約に反対するのか。「ハーグ慎重の会」メンバーであり、人権派弁護士の一人である吉田容子弁護士が、日弁連「両性の平等委員会」の機関紙で、ハーグ条約批准が「国内の『子連れ別居』事案への重大な影響」を与えると言っているように、その理由は、国内の「実子誘拐ビジネス」に多大な影響が及ぶからである。

つまり、ハーグ条約を締結し、国際間の実子誘拐を禁止しておきながら、国内の実子誘拐を禁止しないということは常識的に考えてありえない。当然、両者の矛盾を解消する方向に法制度や裁判運用が変わる。そうなると、国内の実子誘拐ビジネスができなくなるということだ。

そのような状況に置かれた彼女らは、驚くべきやり方でその矛盾の解消を図った。つまり、日本のローカル・ルールを世界のルールに合わせるのではなく、日本のルールを世界に適用させようとしたのだ。

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