「テレワーク」の「テレ」の意味は「離れたところ」|電脳三面記事

「テレワーク」の「テレ」の意味は「離れたところ」|電脳三面記事

ビル・ゲイツの妹(という設定)のライターが、ネットで話題になった事を斬りまくる、人気連載「電脳三面記事」。今回は新型コロナ感染拡大によってなし崩し的に始まった「テレワーク」から、いま抱えている問題点を探ります。


「テレハラ」「ズムハラ」が生まれそう

始まりましたね~、テレワーク。こうなると、もともと在宅勤務だったフリーランサーが、どうしたら百万円もらえるかどうか案じながらも、「朝はちゃんと着替えろ」だの「だらだら仕事するな」など、“テレワークの極意”のようなものを上から目線でいろいろ言ってしまいがちで、実際にそのような現象も観測されているわけですが、一方で、オンライン会議などに懐疑的だった保守層も、いったん設定さえしてしまえばこんなに楽なものもないと気がついて、お得意の電話やメールで済む話も、すぐにやれズームだ、やれハングアウトだ、とつなぎたがって、帯域を圧迫される第三者としてもいい迷惑です。

そのうち「テレハラ」「ズムハラ」なんて言葉も生まれそう

少し前、制度に則って「今日は在宅勤務にします」と宣言した女性社員のところに、些細な理由を見つけては電話をして、本当に仕事をしているか確認しているふりをしながら邪魔と嫌がらせを両立させている男性管理職を目撃したことがありますが、いま思えば平和な時代だったのかもしれません。電話は声だけ、オンライン会議はwith映像。土足で踏み込まれる感はぐっと上がってしまうわけで、音声のみでの対応も可能とは言え、通常勤務に戻ったときによりいっそうギクシャクしていたりして。

ただ、私の周辺では3月下旬、ちょうど都民の気が緩んで花見三昧だと言われた三連休より前は、テレワークできる環境にあるにもかかわらず、出社していた人が多かったように思います。隣の人より先にサウナを出たくない、最後までいた人物こそが強いとでも言うような、つまりは精神論のようなものが残っていたんです。言われましたもの、「直接会わないと、話をした気がしない」って

ただその後、五輪の延期がようやく決まり、週末に雪が降ったことで2020年なのにちょっと世紀末感が漂って、志村けんが死んでしまって、むしろなんで政府は緊急事態宣言を出さないわけ? という雰囲気になったように記憶しています。

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神頼みでは駄目です

で、テレワークが少し前進し、オンラインでの診療も門戸が広がり初診でもオッケーと相成って、これもテクノロジー的にはもっと早く実現できたはずが、いよいよ背に腹は代えられなくなったのですね。ただ、ITまわりのセッティングをすべて帰省する子供に任せていたコロナ最警戒世代が使えるようになるまでには、ちょっと時間がかかりそう。

もちろん、テレワークなんかじゃ商売成り立たないという人もいるわけで、多少は空いた駅から多少は空いた電車で通勤されるわけで、この通勤電車ははたして三密なのかそうでないのかという議論が暇をもてあました方々の間で人気ですが、これも日頃の怠惰ですよね。

通勤電車の乗車率が高いことはみんなが知っていて、みんなが問題だと思っていて、でも「そういうもの」として運営側は黙認してきた。ある意味、お客様の根性論・精神論に頼って、いま流行りの効率化を極めた格好だったわけで、もうそういうのやめましょうよ

その点、専門家会議のメンバーや都の会見に同席している医者の「神頼みではダメです」と、けんもほろろなリアリストぶりはすごいなと思います。私が最も感じる3・11との違いはここ。感染症対策は利権にならなくて、だからしがらみなく自分の知見に基づいて、テレビカメラの前でもSNSでもはっきりとものが言えるのかな。

そうしたプロの意見を鑑みて、判断する側にもプロであってほしいと神に頼むわ、ほんと

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