安倍総理「台湾加油」で深まる日台の絆|金美齢

安倍総理「台湾加油」で深まる日台の絆|金美齢

「台湾加油」 安倍総理が地震に見舞われた台湾に向けて色紙に揮毫した文字です。 2月6日深夜(日本時間7日未明)、台湾東部で地震が発生し、花蓮市では12階建て集合住宅兼ホテルが倒壊、死者9名、日本人を含め負傷者200名を超える被害が出ました。


〈安倍首相からのお見舞いは、まさかの時の友は真の友、まさにその通りです。このような困難な時の人道救助は正に台日双方の友情と価値観を体現するものだと思います。本日、日本から7名の専門家が人命探査装置を持って訪台して頂きました。これにより、更に多くの被災者の救出に繋がることを望みます〉

私はこのやり取りを見て、深い感慨を覚えました。もちろん、地震は不幸な出来事です。しかし、つらい時にこそ互いを助けられる日台は、まさに「真の友」になったのだと感じるからです。

余談ですが、「まさかの時の友は真の友(A friend in need is a friend indeed.)」という言葉は、第一次安倍政権で辞任した安倍総理に私がかけた言葉です。勢いがあるときに美味しい思いをしようと寄ってくる人は多いけれど、苦しい時、力を失っているときに手を差し伸べてくれる人は少ない。しかしそれこそが真の友。こういう時にこそ、互いの関係の真価が問われるのです。

日台は運命共同体

台湾でもこの安倍総理のメッセージについて多くのメディアが報じており、台湾の知人からも、「ニュースで大きく取り上げられている」との情報や、「安倍総理のメッセージは心強い」との感想が寄せられました。

また、この情報発信はまさに「機を見るに敏」であり、安倍総理の外交センスの良さと、スケールの大きさを実感しました。地震の被害に見舞われた花蓮という地名ではなく、「台湾」と書いたこと、これ自体に大きな意味があるのです。

公式には外交関係のない日台の間では、これまで公の場で「台湾」という名前を出すこと自体がタブー視されている風潮がありました。もちろん中国を慮ってのもので、これだけ言論の自由を謳歌できる日本社会において、なぜこうも台湾ばかりが粗末に扱われるのかという思いを、台湾人自身も持っていました。

その象徴が東日本大震災の時の「お礼広告」です。台湾から寄せられた多くの義援金を受け取りながら、民主党政権の日本政府は、菅直人首相の署名入りの「お礼広告」を米英仏韓露中6カ国の7つの新聞に掲載したのに対し、台湾の新聞には掲載しませんでした。台湾が寄せてくれた友情に対する礼儀すらなっていない、恥ずべき態度でした。

これに怒りを覚えた民間人が資金を募り、交流協会を通じて感謝広告を掲載しましたが、これは外交的に軽視されてしまう台湾人の悲哀を、民間交流で癒すことになった。いわば、「片思い」だった日本への思いが日本に通じ、相手からも返ってきた、戦後初めての出来事だったのです。

今回の安倍総理のメッセージも、この土台の上にあったのでしょう。

日台の絆は単なる民間交流だけでなく、安全保障にも影響を及ぼすものです。中国という巨大な敵が海洋進出するためには、沖縄から台湾、そしてフィリピンと連なる島々の間を通らなければならない。まさに、この地帯は中国の海洋進出を阻む防波堤です。台湾が中国の手に落ちればこの地域が中国の覇権に染まってしまう。そうなれば、日本の安全保障も大きく揺らぐことになります。

私が事あるごとに「日台は運命共同体」だというのはこのためです。安倍総理もそのことが分かっているからこそ、地震という日本にとっては最も痛みのわかる傷ましい出来事が発生した直後に、台湾に対してメッセージを送ったに違いありません。

さらに日本は地震発生後、即座に行方不明者の捜索・救助のための専門チームの派遣を決定しました。そして台湾は日本からの救援チームは「高度な機材を持っている」などとして受け入れる一方、中国からの支援の申し出を「人員や物資は足りている」と断ったのです。ここに新たな日台関係の在り方を見てとるのは私だけではないはずです。

台湾をのけ者にする人たち

関連する投稿


たちまち5刷!『マンガ安倍晋三物語』制作秘話|TEAM ABE(チーム安倍)

たちまち5刷!『マンガ安倍晋三物語』制作秘話|TEAM ABE(チーム安倍)

昭恵夫人が「号泣しました。生涯最高の一冊です」と大絶賛。全国から感動、感涙の声が続々。安倍晋三総理の67年の生涯を描いた『マンガ安倍晋三物語』の制作秘話を未公開イラストと共に初公開!


トランプ前大統領暗殺未遂と政治家の命を軽視する日本のマスメディア|和田政宗

トランプ前大統領暗殺未遂と政治家の命を軽視する日本のマスメディア|和田政宗

7月13日、トランプ前大統領の暗殺未遂事件が起きた。一昨年の安倍晋三元総理暗殺事件のときもそうだったが、政治家の命を軽視するような発言が日本社会において相次いでいる――。


安倍元総理の命日にあたり、その功績を改めて記す|和田政宗

安倍元総理の命日にあたり、その功績を改めて記す|和田政宗

本日は安倍晋三元総理の命日。安倍元総理が凶弾に倒れてから2年を迎えた。改めてご冥福をお祈りするとともに、非道な暗殺を満身の怒りをもって非難する。


中国、頼清徳新総統に早くも圧力! 中国が描く台湾侵略シナリオ|和田政宗

中国、頼清徳新総統に早くも圧力! 中国が描く台湾侵略シナリオ|和田政宗

頼清徳新総統の演説は極めて温和で理知的な内容であったが、5月23日、中国による台湾周辺海域全域での軍事演習開始により、事態は一気に緊迫し始めた――。


「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

チマチマした少子化対策では、我が国の人口は将来半減する。1子あたり1000万円給付といった思い切った多子化政策を実現し、最低でも8000万人台の人口規模を維持せよ!(サムネイルは首相官邸HPより)


最新の投稿


総裁選候補に緊急アンケート15問|野田聖子議員

総裁選候補に緊急アンケート15問|野田聖子議員

混戦となっている自民党総裁選。候補者たちに緊急アンケートを実施し、一人ひとりの実像に迫る!


【今週のサンモニ】政治を何だと思っているのか……|藤原かずえ

【今週のサンモニ】政治を何だと思っているのか……|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


なぜ自民党総裁選で青山繁晴さんを支援するのか|和田政宗

なぜ自民党総裁選で青山繁晴さんを支援するのか|和田政宗

9月12日(木)に告示され、27日(金)に開票が行われる自民党総裁選。私が選対事務局長を務める青山繁晴さんは、8月23日に記者会見を行った。しっかりと推薦人20人を9月12日に確定できるよう頑張りたい。(写真提供/産経新聞社)


なべやかん遺産|杉浦茂先生ゴジラ

なべやかん遺産|杉浦茂先生ゴジラ

芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「杉浦茂先生ゴジラ」!


【今週のサンモニ】台風迷走でもトンデモ説を振りかざし|藤原かずえ

【今週のサンモニ】台風迷走でもトンデモ説を振りかざし|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。