【読書亡羊】極右政党を無害化するたった一つの冴えたやり方  ユストゥス・ベンダー著『なぜAfDは支持されるのか』(同時代社)|梶原麻衣子

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その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


「頭の論理」VS「腹の感情」

ではこうした党の躍進に対して、それをよく思わない人たちはどうすればいいのか。その答えを出すことも、実行に移すことも容易ではない。

だが新版として増補された最終章で、著者はそのヒントの一端を明かしている。章タイトルは〈「頭の論理」VS「腹の感情」〉だ。

「奴らを増長させるな!」と思う人がすべきことの一つは、頭ごなしの批判や嘲笑ではなく、AfDを支持するような人々が持っている恐れに向き合い、共有することだという。

人間は、自分と同じ温度で怒り、笑い、恐れを口にするものを信じる。他人の表情を装って取り繕うものなど信じない。信じられぬものに票は集まらない。

あるいは十万人単位の人間が参加したデモにより、AfDの支持率を4%押し下げたこともあったという。

そしてもう一つは、党自体の変質を見据えることだ。党を観察する側の人間が自らの公正さと価値観、判断に誇りを持ち、骨のある世論を作る。そして同じAfDの政治家であっても、節度をわきまえた相手には相応の評価を与えていくことが必要だというのだ。

これはかなり勇気と労力がいる。だが、著者はこう書く。

本気で自分の情念を隠さず、それでいて主権者としての矜持を持ち、十分な知識を抱えてAfDに向き合うものなら、こうした穏健派に「健闘を祈る」と言ってやることに何のためらいもないはずだ。

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書評 読書亡羊 梶原麻衣子

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