ここで、事由の適否を順に検証すると、まず、
①について、ベネズエラ政府は米国の作戦に同意を与えていませんので事由にはなりません。
②についても、ベネズエラによる武力攻撃は発生していないので事由にはなりません。
③の【対抗措置 countermeasures】とは、他国の違法行為をやめさせるために行為ですが、武力行使による対抗措置は国連憲章下では基本的に認められません。
④⑤については、それに相当する現象や行為が発生していないので事由にはなりません。
⑥の【緊急避難 necessity】とは、国が重大かつ急迫した危険から根本的利益を守るために、相手国が違法行為を行っていないにも拘らず、やむを得ず国際義務に違反することを指します。これも③と同様、基本的に認められません。
つまり、③⑥が事由と認められる可能性はありますが、その確率は極めて低いといえます。
気に入らない相手を断罪するルール違反
このような状況のなか、米国は国内法(連邦法)を根拠に作戦を実行しました。日本は国内法よりも国際法を優先しますが、米国は国内法と国際法を同等(基本的に新しい法律が古い法律に優先する後法優先)に扱います。
つまり、トランプ大統領が、麻薬密輸という米国の権利を侵害する国内法上での違法行為を作戦の事由とすることは理論上可能なのです。そもそも国際法には法的強制力もありません。国連を介する限り、米国には拒否権があるので、事実上は国内法を優先することが可能となります。
トランプ大統領が政権転覆のメリットとして石油利権に言及しているのは論評に値しません。無関係であるからです。
ただし、「イランやヒズボラのような悪意ある勢力から国益を守り、ベネズエラの国民や西半球全体に平和や安定をもたらすという、アメリカの目標が損なわれるのを阻止するため」という石油の統制をめぐる米国の主張を『サンデーモーニング』が報じなかったことは公平ではありません。
トランプ大統領 ベネズエラ産石油の収益保全 大統領令に署名 | NHKニュース
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015023891000【NHK】アメリカのトランプ大統領は、ベネズエラ産の石油の収益を保全し、ほかの国や企業からの債権の請求を認めないとする大統領令に署名しました。アメリカメディアは将来にわたってベネズエラ産の石油の収益を管理するた

