さて、この問題に関するサヘル・ローズ氏のコメントには、少なからず抵抗を感じました。
サヘル・ローズ氏:それぞれの政策とか皆さんの出している案を見て、減税や給付金は本当に今必要なものであると思う。
だけど、それ以上の先を見据えた支援というものは、やはり生活をしていく中で、物価高もそうですし、光熱費もそうで、家賃もそうで、日々の積み重ねの中でのシワ寄せが一般市民に凄く来てしまっているので、その先を考えた時に、どうやって賃金を引き上げてくれて、そこに子育てや介護ができるか、そういうことも先を見据えたことも考えてほしい。
イラン出身のイスラム教信者であるローズ氏の言説に特徴的なのは、安易に一般市民を被害者ポジションに置き、その公助を当然のことであるかのように主張することです。
イスラム教では、貧しい人に施しを与えることはアッラーによって課せられた義務(ザカート)と捉えられています。
もちろん、富の再分配は、自助が不可能な本当に貧しい人には必要ですが、日本の一般市民の経済的状況を考えれば、光熱費・家賃・賃金などに対する公助の義務を日本政府に課すのは、経済的社会権の乱用であり、明らかに非現実的です。日本は社会主義国家ではありません。
ローズ氏は続けます。
サヘル・ローズ氏:悲しいなと思ったのは、いまそれぞれの党が戦っていると思うが、そこの議題の中に外国籍の方への発言だったり、移民問題というのもあると思うが、それって私たち外国人は選挙権をもっていないので、そのことに対して投じたかったり、けして外国の人が凄く優遇されているわけでも、日本の方だって優遇されているわけではない中で、自分たちの選挙権がない、発言できる権利がない人達を挙げて攻撃するようなことは、違うんじゃないかなと心苦しく見ている。
一部の排外主義的な政党による外国人差別やヘイトスピーチには、私も強い違和感をもちます。彼らは訪日外国人を総じて犯罪者であるかのように蔑視しますが、これは人間差別に他なりません。外国人の基本的人権は日本国憲法によって保障されています。
その一方で、安全保障を揺るがす形で外国人の自由権が認められている案件や、社会的コストに見合わない形で外国人の社会権が認められている案件は皆無ではありません。国政選挙においてこれらの議論が行われるのは至極当然です。