
自衛隊トラックへの追突事故で実刑判決 | レスポンス(Response.jp)
https://response.jp/article/2006/06/15/82948.html今年2月、兵庫県福崎町内の中国自動車道で、陸上自衛隊の大型トラックに追突する事故を起こし、隊員13人を死傷させたとして、業務上過失致死傷罪に問われた29歳の男に対する判決公判が9日、神戸地裁姫路支部で行われた。裁判所は懲役4年の実刑を命じている。
自衛隊員たちの命と人権を本気で守れ!

(写真提供/筆者)
安全装置のない荷台では、事故時の被害が拡大しやすい。しかも、自衛隊車両は任意保険に加入していない。事故時の損害賠償は国家賠償法に基づいて国が行うが、隊員に重大な過失があった場合は、個人負担になる可能性がある。
防衛省は「重大な過失がなければ隊員に責任は生じない」と説明するが、伊藤議員は「疲労困憊のなかでの居眠り運転も重大な過失にあたるのではないか」と追及した。
演習・訓練後の過労状態でも「今日中に帰隊しろ」という命令が出れば、運転を断るのは極めて難しい。しかも自衛隊では、運転手に指名されても手当はつかない。「自衛隊に入ると大型免許が取れる」という甘言で入隊し、過酷な運転任務に苦しむ若者たちもいる。現場の重圧は計り知れない。
伊藤議員は最後にこう訴えた。
「43兆円という過去最大の防衛予算があるなかで、隊員の命や生活を後回しにしてはいけない。荷台輸送は戦術的にも、健康面でも、事故リスクの面でも、見直しが必要だ」
防衛力の要は最新兵器や予算ではなく、「それを動かす人」だ。世界の常識では、軍人の命を軽んじていいという考えはありえない。平時から隊員の生命と健康を何よりも優先し、人命軽視への警鐘を鳴らさなければならない。
しかし、防衛省の答弁からは、隊員の命や健康を守る配慮が感じられなかった。「米軍では最も高価で大切な装備は〝軍人そのもの〟」という言葉――。これを自衛隊自身が胸を張って言えるようにならなければ、誰が安心して命を預けようと考えるだろうか。
少子化の今、若者は引く手あまたである。自衛隊員たちの命と人権を、今こそ本気で守るべきだ。