『こんなにひどい自衛隊生活』、誕生のきっかけとなった「少佐」との出会い|小笠原理恵

『こんなにひどい自衛隊生活』、誕生のきっかけとなった「少佐」との出会い|小笠原理恵

「なぜ、自衛隊の待遇改善問題に取り組み始めたのでしょうか」。時々、人から聞かれる。「1999年3月に発生した能登半島沖不審船事件に携わった、幹部自衛官とSNSを通じて友人になったからです」と私は答えている。彼のことを私たち、「自衛官守る会」の会員は「少佐」と呼んでいる――。(「まえがき」より)


自衛隊員がいなければ戦えない

(硫黄島にアプローチする「少佐」)

空を飛べなくなった長谷川卓央3等海佐は自衛隊を退職、国会議員や県議会議員の秘書となり、いまは政界を目指している。彼は政治家になって少しでも自衛隊員のために働きたいという。だから私は、さらに自衛隊員の待遇改善の機運を広げるために、商業誌に記事を書くことを決めた。

防衛予算が増えて、新しい装備品を揃えても、それを動かす自衛隊員がいなければ戦えない。

昨年度は自衛隊員採用計画の51%しか実施できず、自衛隊創設以来最悪の状態となった。2022年度は6258人と過去30年で最多の中途退職率も記録した。その理由のひとつが、命を懸けて戦った少佐のような隊員に対して国が報いていないからだ。

このことをもっと広く知ってもらい、自衛隊の待遇改善を少しでも進めたい。ここから、みんなでこの状態を変えていきたい。12月、米軍は台湾有事を前に沖縄にいる海兵隊のグアム移転を開始した(移転完了は2028年ごろの予定)。日米合意のロードマップで18年前に決まっていたが、東アジアの安全保障環境が不穏なこの時期に実施されたのだ。

米軍を頼っていては国は守れない。私たち国民が決断し、自衛隊を強くするために国を動かすしかないのだ。

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