広島・長崎以来、核兵器が実戦投入されていないのは、核兵器を使わせないというタブーが機能しているからではなく、軍事同盟による懲罰的抑止が機能していると考えるのが合理的です。
また、核廃絶が実現できない要因を日本政府に求めるのは明らかに間違っています。核廃絶が実現できないのは、覇権国家の専制支配者に核廃棄される方策が現在の所存在しないからです。
石破氏が掲げる核共有政策については合理的でないと考えますが、だからといって、検討をタブー視するのは非論理的です。
なぜなら、現在の状況に置いて、最もプライオリティが高いのは、核廃絶ではなく、核を使わせないことです。核を使わせないために懲罰的抑止や拒否的抑止の方策検討することをタブー視することは、罪のない市民の生命よりも核廃絶を優先するという本末転倒な考え方に他なりません。
核廃絶を実現するには、覇権国家の専制支配者が核を廃棄するのを待たなければなりません。彼らに核を廃棄させるには、核保有のインセンティヴをなくすことが必要であり、そのためには、核攻撃を無力化する科学技術を開発し、完全なる拒否的抑止を実現させる必要があります。
日本政府は、核兵器禁止条約へ賛同すべきではありません。賛同すれば、覇権国家の専制支配者に利するだけです。
被団協への壮大な買い被り
松原耕二氏:プーチン大統領が核の脅しをかけながら結局使えていない大きな理由の一つが、使ったら世界を敵に回すという国際世論。これを形作ってきたのがまさに被団協の人たちが中心でもあった。大きな役割を果たしてきた。本当に敬意を表したい。
被団協が作った国際世論がロシアの核攻撃を抑止しているというのは、壮大な買い被りです。
プーチン大統領が核を使えていないのは、自明な費用便益分析によるものです。核を使用すれば、NATOによる非核兵器を使った報復リスクがあり、国家の破滅も十分に予測されます。
また、その場合には、中国も死活問題となるので止めざるを得ません。結局は、懲罰的抑止が機能しているのです。
『サンデーモーニング』の絶望的なお花畑は現在も健在ということです。
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