元村氏も、覇権国家の専制支配者に核廃棄させるには何が必要かについてまったく触れることなく、問題解決を政治リーダーに委ねています。オバマ氏も被団協もそうですが、結局この論点を避けている限り、問題は解決しません。
核兵器禁止条約へ賛同すべきではない
畠山澄子氏:本当に嬉しいことだ。やっぱり「どんな時も諦めない」「何度でも立ち上がる」と言ってきた被爆者の人たちを見てきたので、報われるというのはこういうことかなと凄く思う。ただ一方で、ほんの数年でたくさんの被爆者の人が亡くなっていて、田中熙巳氏という代表委員も「一緒に祝いたい人がたくさんいた」と言っている。
ピースボートは被爆者と世界中で証言活動をしてきて、私もそれに15~6年携わっているが、被団協・被爆者の皆さんがやってきたことは本当に草の根だ。国連とか国際会議の場で核兵器廃絶を訴えるのもそうだが、路上に立って署名を集めてマーチして学校行って核兵器の悲惨さを伝えてということをずっとやってきた。その命を懸けて示したことが、核兵器は絶対に使われてはいけないということで、その生きざまに影響を受けて自分も行動しなければいけないという勇気も貰って来た人はたくさんいるし、私もその一人だ。
畠山氏も含め、被団協の人たちが大変な努力を積み上げてきたのはわかりますし、その地道な行動は称賛に値すると思います。ただ「報われる」というのは、ノーベル賞をもらうことではなく、核廃絶を実現することです。いくら努力を訴えても、核廃絶は、覇権国家の専制支配者に核廃棄させない限り実現しません。
畠山澄子氏:今回の受賞というのは、草の根の積み重ねこそが、実は核兵器を使わせないというタブーを作ってきた。この68年間の被団協の活動をノーベル賞が評価した。
今度は問われているのは本当に日本政府だ。石破氏は田中熙巳氏への電話のなかで、自分も小学生の時に写真を見てとても怖い兵器だと思ったと言ったそうだが、田中氏は「本当にそう思っているのならば、核共有や非核三原則の見直しなどいう言葉は出てこないはずだ。怒り心外。論外」と言っている。日本政府は核兵器禁止条約へ賛同すべきだ。