膳場貴子キャスターの資質に大いに疑問
暗殺未遂事件を乗り越えたトランプ前大統領であるが、一昨年の安倍晋三元総理暗殺事件をはじめ、スロバキアでも首相暗殺未遂事件が起きるなど、政治家を相手とした卑劣な銃撃事件が繰り返されている。
民主主義の根幹である演説や選挙運動、有権者との触れ合いの中で起きており、民主主義への重大な挑戦であり、絶対に許すことができない。強く糾弾され非難されるべきものである。
その一方で、政治家の命を軽視するような発言が日本社会において出ていることは民主主義の根幹を揺るがすもので危機意識を持たなくてはならないし、絶対に許容してはならない。
安倍元総理暗殺後に法政大学の島田雅彦教授は、「暗殺が成功して良かった」と発言し、批判を受け、「容疑者への同情からつい口に出てしまった」と答えているが、容疑者にどんな事情があっても人の命を暗殺によって奪った凶悪犯であり、許される発言ではない。
トランプ氏が銃撃された後のTBS『サンデーモーニング』でも、暗殺未遂事件を軽く扱うような発言が相次いだ。膳場貴子キャスターは、まだ銃撃直後でありトランプ氏の状況が本当に大丈夫なのか分からない段階で、トランプ氏が無事であることを望むより、「どういった影響がこの後出てくるのか?」との質問をコメンテーターに投げかけた。
これに対し、元外務事務次官の藪中三十二氏は「むしろ選挙戦から言うと変な話ですけどね。有利に働く可能性はあります」と発言。これを受け膳場キャスターは、「プラスのアピールになりかねないという感じがしますね」と発言した。
政治家にとって演説中に命を狙われることは一大事であり、暗殺未遂事件は民主主義の根幹を揺るがすものであるが、銃撃を批判したり民主主義を守ることには話が行かず、今後の大統領選挙の行方に終始した。
膳場氏のキャスターとしての資質は大いに疑問であり猛省すべきであるし、このような話が暗殺未遂事件直後に行われることが、民主主義をテロで封殺するような行為を絶対に許さないという社会の構築を妨げることになる。
今回の米国大統領選挙は、民主主義を守る戦いであり、来年、戦後80年を迎える我が国にとっても大きな岐路となる可能性がある。他国の選挙と傍観するのではなく、世界の民主主義、我が国の民主主義を守る戦いとして深く注視をすべきである。
著者略歴
1974年、東京生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業(日本外交史)。1997年、アナウンサーとしてNHKへ入局。新潟局、帯広放送局、大阪放送局を経て、2009年7月より仙台放送局に勤務。東日本大震災の報道や取材に携わる。2013年、第23回参議院議員選挙において、宮城県選挙区で初当選。2019年、全国比例区で再選。