61件の医療事故が起き、うち12人が死亡
京都第一赤十字病院(筆者撮影)
恵子さん側から決定的証拠を突き付けられた日赤本社と第一日赤は、開頭部位を間違えたこと、腫瘍でない脳組織を摘出したことについては裁判で認めざるを得なかった。
ところが手術後に起きた、それまでなかった右半身の強いしびれなどの症状については、ミスとの因果関係を否定して争っており、往生際が悪すぎる。
そもそもこの医療事故は、本誌月刊『Hanada』2023年11月号「告発スクープ! 正常脳を切除 日本赤十字社の闇」と、同12月号「第一日赤脳外科部長が謝罪 京都府立医大の深い闇」の連続キャンペーンで初めて表面化した。
第一日赤は、この医療事故以外にも、禁忌の措置で複数の患者を死亡させるなどの重大な医療事故を起こしていた。
だが第一日赤と日赤本社、第一日赤に執刀医らを派遣した京都府立医大脳神経外科(橋本直哉教授)は、本誌が報道するまで事故を隠蔽していた。
本誌報道後に、第一日赤元幹部のA氏(元第一脳神経外科部長)が京都市に医療事故を通報したため、京都市は第一日赤に臨時の立入検査を3回実施。今年1月、10項目の問題点を確認し、6項目にわたり改善を指導した。
A氏が京都市に提出した資料には、2019年5月1日から2021年8月31日までに延べ61件の医療事故が起き、うち12人が死亡したことが詳細なリスト付きで示されていた。
京都府立医大(筆者撮影)