【今週のサンモニ】番組の見解を全否定してしまう孫正義|藤原かずえ

【今週のサンモニ】番組の見解を全否定してしまう孫正義|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


トランプが「民主主義を破壊する」のか?

スタジオトークでは最初に目加田説子氏がコメントします。

目加田説子氏:指摘の通り、バイデン氏は弱々しかったり、言葉に詰まったりする場面があって、今後4年間託してよいのだろうかと不安になる有権者がいたと思う。一方でトランプ氏の虚偽発言とか、相手を汚い言葉で罵るような態度とかいうものが、もう一度託してよいのかということも不安に感じる有権者が多かっただろう。結果として、ダブル・ヘイターズが増えてしまった。(中略)。来年からトランプ氏になるのはどう考えても民主主義を破壊して行くような側面から判断しても相応しくないと思う。

そもそも民主党は、党内の健全な分裂を起こすことなく、高齢に不安があることを当初から認識してバイデン氏を指名したのであり、その責任は民主党と民主党支持者自身にあります。今更文句を言うのは無責任です。政策ベースではなく、戦略ベースで考えた場合、党内中道の若手を指名すれば、高確率でトランプ氏に勝利したはずです。

さて、目加田氏の「どう考えても民主主義を破壊するのでトランプ氏は相応しくない」という主張は、テレビ報道に相応しくありません。

まず、トランプ氏が公正な選挙によって大統領になるとすれば、それは【民主主義 democracy】によるものです。民主主義とは政治的支配体制の一つであり、被治者である国民が治者となる国民の代表を公正な選挙によって指名するものです。

一方、トランプ氏の政治的イデオロギーは、政治的社会権および経済的社会権を得るために政治的自由権および経済的自由権を制限する【ポピュリズム populism】あるいは【全体主義 totalitarianism】と呼ばれるものです。

目加田氏は、この政治的イデオロギーと政治的支配体制を混同しています。選挙が公正である限り、ポピュリズム政治も全体主義政治も民主主義政権下で行われます。公正な選挙で大統領に指名されたトランプ氏が「どう考えても民主主義を破壊する」というのは不合理です。

当然のことながら、このことを根拠としてトランプ氏を大統領に「相応しくない」とするのも不合理です。そもそも、特定の政治的価値観を視聴者に強要するようなテレビ報道は放送法違反です。

さて、ここで孫正義氏の登場です。

関連する投稿


【今週のサンモニ】高橋純子氏の的外れなナベツネ批判|藤原かずえ

【今週のサンモニ】高橋純子氏の的外れなナベツネ批判|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【今週のサンモニ】改めて、五年前のコロナ報道はひどすぎた|藤原かずえ

【今週のサンモニ】改めて、五年前のコロナ報道はひどすぎた|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【今週のサンモニ】兵庫県知事選はメディア環境の大きな転換点か|藤原かずえ

【今週のサンモニ】兵庫県知事選はメディア環境の大きな転換点か|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【今週のサンモニ】オールドメディアの象徴的存在|藤原かずえ

【今週のサンモニ】オールドメディアの象徴的存在|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


最新の投稿


日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

今年の政治における最大のニュースは、10月の衆院選での与党過半数割れであると思う。自民党にとって厳しい結果であるばかりか、これによる日本の政治の先行きへの不安や、日本の昨年の名目GDPが世界第4位に落ちたことから、経済面においても日本の将来に悲観的な観測をお持ちの方がいらっしゃると思う。「先行きは暗い」とおっしゃる方も多くいる。一方で、今年決定したことの中では、将来の日本にとても希望が持てるものが含まれている――。


【今週のサンモニ】高橋純子氏の的外れなナベツネ批判|藤原かずえ

【今週のサンモニ】高橋純子氏の的外れなナベツネ批判|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

突然、月8万円に……払いたくても払えない健康保険料の実態の一部を、ジャーナリスト・笹井恵里子さんの新著『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より、三回に分けて紹介。


【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

税金の滞納が続いた場合、役所が徴収のために財産を差し押さえる場合がある。だが近年、悪質な差し押さえ行為が相次いでいるという(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。


【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

いまもっぱら話題の「103万円、106万円、130万円の壁」とは何か。そしてそれは国民健康保険料にどう影響するのか(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。