「派閥全廃」は党改革の出発点に過ぎない!|和田政宗

「派閥全廃」は党改革の出発点に過ぎない!|和田政宗

派閥全廃とその先の根本的な党改革を構築するため、「政治(まつりごと)変革会議」を今月22日に結成した。党変革、政治変革が中途半端に終われば、自民党は国民の信を失い、下野し、将来消滅する――。(サムネイルは自民党HPより)


「私」を完全に排除することが重要

Getty logo

そして、党運営にあたっては、政治資金における「私(わたくし)」を完全に排除することが重要だ。今回の派閥パーティー問題は、すべて「公」であるべき政治資金が不記載によって見えなくなってしまった、「私」の部分に流用されたのではないかとの疑念が根本にある。

つまり、「公」と「私」を混同したのではないかという部分である。こうした「私」を完全排除するため、党内に強力な監査機関を設けるべきと私は主張したが、これはおおむね中間取りまとめに反映された。我々国会議員は法令を作る立場にあり、立件されなかったからセーフというわけではなく、法令を侵すことがあれば本人のみならず党として厳正に対応することが当たり前である。

さらに、政治資金からの「私」の部分の排除は法律でも担保すべきであり、そのために「政党法」ないし「公党法」の制定が必要であると私は考える。現在、我が国には「政党法」は存在しないが、その制定は平成24年の自民党憲法改正草案にも盛り込まれている。

この他にも、政治資金パーティー券の外国人の購入禁止や、政治資金収支報告書への連座制導入など、必要な法改正を行わなくてはならない。こうした変革の前提は、問題を引き起こし、かつ政権与党である自民党が当然しっかりと示すべきである。

党政治刷新本部の「最終とりまとめ」ではなく、リクルート事件後に自民党として国民に約束した「政治改革大綱」を新たに策定し、改めて党の解体的出直しと根本的な政治変革実現を国民に約束すべきだ。すなわち我が党は、「新政治改革大綱」を策定し実行すべきである。

根本的な党変革、政治変革が実行できなければ、国民の審判は火を見るより明らかであろう。中途半端なことをすれば、自民党は国民の信を失い、下野し、将来消滅する。しっかりとした変革を行い、国民の信を取り戻し、国家国民のための政治を実行する姿に自民党は生まれ変わらなくてはならない。

私はそのための行動を火の玉となって行っていく。

著者略歴

和田政宗

https://hanada-plus.jp/articles/681

1974年、東京生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業(日本外交史)。1997年、アナウンサーとしてNHKへ入局。新潟局、帯広放送局、大阪放送局を経て、2009年7月より仙台放送局に勤務。東日本大震災の報道や取材に携わる。2013年、第23回参議院議員選挙において、宮城県選挙区で初当選。2019年、全国比例区で再選。

関連する投稿


【編集長インタビュー】自民党再生のための三つの条件|西村康稔【2025年11月号】

【編集長インタビュー】自民党再生のための三つの条件|西村康稔【2025年11月号】

月刊Hanada2025年11月号に掲載の『【編集長インタビュー】自民党再生のための三つの条件|西村康稔【2025年11月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


進化する自衛隊隊舎 千僧駐屯地に行ってみた!|小笠原理恵

進化する自衛隊隊舎 千僧駐屯地に行ってみた!|小笠原理恵

かつての自衛隊員の隊舎といえば、和式トイレに扇風機、プライバシーに配慮がない部屋配置といった「昭和スタイル」の名残が色濃く残っていた。だが今、そのイメージは大きく変わろうとしている。兵庫県伊丹市にある千僧駐屯地(せんぞちゅうとんち)を取材した。


異形の権力、石破政権の最期|青山繁晴【2025年10月号】

異形の権力、石破政権の最期|青山繁晴【2025年10月号】

月刊Hanada2025年10月号に掲載の『異形の権力、石破政権の最期|青山繁晴【2025年10月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


変わりつつある自衛官の処遇改善 千僧駐屯地に行ってみた!|小笠原理恵

変わりつつある自衛官の処遇改善 千僧駐屯地に行ってみた!|小笠原理恵

自衛隊員の職務の性質上、身体的・精神的なストレスは非常に大きい。こうしたなかで、しっかりと休息できる環境が整っていなければ、有事や災害時に本来の力を発揮することは難しい。今回は変わりつつある現場を取材した。


終戦80年に思うこと「私は『南京事件』との呼称も使わない」|和田政宗

終戦80年に思うこと「私は『南京事件』との呼称も使わない」|和田政宗

戦後80年にあたり、自虐史観に基づいた“日本は加害者である”との番組や報道が各メディアでは繰り広げられている。東京裁判や“南京大虐殺”肯定派は、おびただしい数の南京市民が日本軍に虐殺されたと言う。しかし、南京戦において日本軍は意図的に住民を殺害したとの記述は公文書に存在しない――。


最新の投稿


【編集長インタビュー】自民党再生のための三つの条件|西村康稔【2025年11月号】

【編集長インタビュー】自民党再生のための三つの条件|西村康稔【2025年11月号】

月刊Hanada2025年11月号に掲載の『【編集長インタビュー】自民党再生のための三つの条件|西村康稔【2025年11月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


【編集長インタビュー】次の総裁と日本の背骨を作り直そう|萩生田光一【2025年11月号】

【編集長インタビュー】次の総裁と日本の背骨を作り直そう|萩生田光一【2025年11月号】

月刊Hanada2025年11月号に掲載の『【編集長インタビュー】次の総裁と日本の背骨を作り直そう|萩生田光一【2025年11月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


高市早苗 戦闘宣言|小川榮太郎【2025年11月号】

高市早苗 戦闘宣言|小川榮太郎【2025年11月号】

月刊Hanada2025年11月号に掲載の『高市早苗 戦闘宣言|小川榮太郎【2025年11月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


【今週のサンモニ】低次元な高市新総裁批判|藤原かずえ

【今週のサンモニ】低次元な高市新総裁批判|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】ウイグルに潜入したら見えてきた「中国の本当の姿」とは  西谷格『一九八四+四〇――ウイグル潜行』(小学館)|梶原麻衣子

【読書亡羊】ウイグルに潜入したら見えてきた「中国の本当の姿」とは 西谷格『一九八四+四〇――ウイグル潜行』(小学館)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!