日本防衛の要「宮古島駐屯地」の奇跡|小笠原理恵

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「自衛官は泣いている」と題して、「官舎もボロボロ」(23年2月号)、「ざんねんな自衛隊〝めし〟事情」(23年3月号)、「戦闘服もボロボロ」(23年4月号)……など月刊『Hanada』に寄稿し話題を呼んだが、今回は、自衛隊の待遇改善のお手本となるケースをレポートする。


食事も被服もスポーツジムも充実

宮古そばの昼食 昼食にもデザート「サーターアンダギー」がついている

自衛隊に入隊したばかりの隊員約350人は 駐屯地内の隊舎で集団生活をしている。この隊舎も築5年と比較的新しい。この隊舎内の部屋割りは1室に10人。自衛隊内で「フランスベッド」と呼ばれている新しいタイプの2段ベッドが置かれている。ここには女性隊員もおり、女性隊舎がある。女性隊舎は電子ロック付きでそこに風呂とトイレがある。

自衛隊の糧食費は概ね1日947円だ。しかし、宮古島駐屯地は離島なので自衛隊のルールで1品多いメニューだ。さらに、食材の運搬費も含めての1日当たりの糧食費は約1,400円となっている。糧食費の値段を高い順に並べると、距離の遠い与那国、石垣、ついで宮古島の順となる。

一般の自衛隊糧食費947円ではおかずの数や量が制限されがちだが、営内の食堂メニューはかなり充実している。他の拠点もこれくらいほしい。さらに、営内には隊員クラブ(飲酒可能)もある。

本土の自衛隊の隊舎や庁舎は、節約のため、夜間や休日に冷暖房を切るところがある。湿度の高い宮古島では油断するとすぐカビだらけになることもあり、24時間冷房はかかせない。スポーツジムや体育館にも冷房があり、休日や課業以外の時間にも申請すれば冷房をきかせてトレーニングができる。

ジムにはランニングマシーン、ウエイトトレーニングなど新しい設備が整っている。古い自衛隊の拠点のジムもこうあってほしいものだ。

沖縄県と海外派遣される隊員たちの一部には特別な防暑服と防暑靴が支給される。これらは戦時に隊員の命を守る耐熱難燃性と対赤外線がある上に脇や背中にスリットが入っており、熱を放出できる。防暑靴も蒸気を放出する穴がある。

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