川勝知事著作本に滲む“女性蔑視”思想(後編)|小林一哉

川勝知事著作本に滲む“女性蔑視”思想(後編)|小林一哉

セクハラ被害者に手を差し伸べる女性を攻撃した川勝著作本の「あとがき」。読み込むとさらなる川勝知事の「本性」を知ることができる大きな手掛かりが――。


30年前と現在でどのくらい川勝知事に変化があったのか。
 
記者会見で、女性記者たちの真摯な質問を蔑ろにしてごまかすのも、その内面にはびっくりするような差別意識があるからだと思えば、納得できることが多い。

矢野事件の裁判に証拠として提出された「五訓」(秘書心得)、「出張の際の心がけ」を読んでいて、まるで川勝知事作成の「ふじのくに公務員心得8カ条」や「知事心得5カ条」を頭に思い浮かべてしまった。

(ちなみに、矢野氏の「秘書心得」は1、矢野先生は世界の宝、日本の柱です。誇りをもって日々の仕事にはげみましょう。1、矢野先生が心安らかにご研究とお仕事に専念できるよう、私たちは、自分のもてるすべてを捧げてお尽くしいたしましょう、など読むだけでも恥ずかしくなる代物だが、矢野氏は朝礼で唱和させていたという)

30年前の事件は、現在とは全く無関係かもしれない。
 
しかし、川勝知事の偏見に満ちて、事実を全く押さえようとしない姿勢は現在と全く同じである。
 
リニア妨害のためだけに事実をわい曲して、真っ赤な嘘をつくことに相通じている。
 
ただ矢野氏と違うのは、川勝知事は県トップとしてリニア妨害を正当化できる権力を持つことだ。いずれ川勝知事は「本性」によってその地位を失うだろうが、いまのところ尻尾を見せないだけである。

小林一哉(こばやし・かずや)

https://hanada-plus.jp/articles/886

「静岡経済新聞」編集長。1954年静岡県生まれ。1978年早稲田大学政治経済学部卒業後、静岡新聞社入社。政治部、文化部記者などを経て、2008年退社。現在、久能山東照宮博物館副館長、雑誌『静岡人』編集長。著作に『静岡県で大往生しよう』(静岡新聞社)、『家康、真骨頂、狸おやじのすすめ』(平凡社)などがある。

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