国対副委員長の職は解かれることに
6月16日に参院本会議で可決・成立した「LGBT法案」は、23日に施行された。そして内閣府には、理解増進のための基本計画の策定や国民への啓発活動等に取り組む担当部署が新たに設置された。この法律に基づいて、学校での教育など様々な施策が実施される。
私は、16日の参院本会議散会後、すぐに参院国会対策委員長室に行き、国会対策副委員長の職について進退伺を提出した。国対副委員長は国会対策の要職であり、党議拘束と異なる行動を取ったことから、その職の責任として進退伺の提出が必要であると考えたからである。
これを受け、週明けの19日に、参院幹事長、国対委員長から連絡があり、国対副委員長の職は解かれることとなった。また、国会最終日の21日には、参院幹事長より採決退席について厳重注意を受けた。
党議拘束と異なる行動により重い処分となることも想定されたが、参院自民党においては、国会でこの法案が審議されることが分かってから内容改善に力を尽くしてきたこともあり、なぜ私が採決を退席したのかを受け止めた上で判断いただいたのだと思う。
私は採決退席で守ろうとしたものが大きく2つある。
1つ目は、多くの国民の声とそれに基づく私の信念である。皆様からの声は、自民党内の議論、国会審議を経ても、女性のスペースを守れるのか、学校現場においていつから何を教えるのか、小学校から本当に教えるのかなど疑問や懸念が払拭されないというものであった。
こうした懸念は、私も強く訴えてきたものでもあり、それが払拭されていないとの多くの国民の声を受け、私の信念に基づいて行動した。誰かに「賛成すべきだ」とか圧力をかけられたとしても、揺らぐことなく自らの信念で行動するという意志で貫いた。
なお、今回は「賛成すべきだ」などの圧力は私には全くなかった。
(写真提供/時事)
内閣支持率の急落と「LGBT法案」
守ろうとしたものの2つ目は、自民党である。
「LGBT法案」に対しては、自民党員や自民党支持者から多くの声が寄せられた。その全てが懸念や反対の意見だった。この声を受け止め、法案採決に対して決意の行動を取る議員が1人も出なければ、自民党の支持は大きく失われてしまうと考えた。私が退席することで、少しでも自民党への希望を持ち続けてくれる方が出れば、自民党を守ることができるとの思いがあった。
実際に、法案成立後にSNSでは、「自民党員をやめる」「自民党支持をやめる」との声が大きく広がった。私のもとに寄せられた意見も同様であるが、このような意見に加え、「自民党員はやめるし自民党は応援できないが、和田政宗は応援する」「自民党員をやめたいが和田政宗がいるのでやめない」とのご意見もいただいた。
私が退席したことで、自民党への希望をギリギリのところでつないでくれた方々がいるのである。私は、こうした方々の意見をしっかりと受け止め、自民党を保守政党として蘇らせるために行動していく。
しかしながら、「LGBT法案」成立を受けた自民党の支持者離れは甚大である。先週末に行われた最新の内閣支持率は、読売が支持41%(前回比-15)、不支持44%(+11)。日経が、支持39%(-8)、不支持51%(+7)と、いずれも支持を大きく減らし、不支持が支持を上回った。
両紙は、岸田政権のマイナンバー対応のまずさや、少子化対策への厳しい評価を挙げるが、それに加えて「LGBT法案」がどれだけ影響しているかは、質問項目にも入っておらず分析もされていない。
しかし、日経での内閣不支持理由の質問では、不支持理由のトップは、「政策が悪い」46%で、先月に比べ10ポイントも増えている。そして2位は、「政府や党の運営の仕方が悪い」で32%、先月比6ポイントも増えている。
この数字はまさに「LGBT法案」を、党内議論もまとまらないまま強引に押し通した反発が如実に出ていると言える。