積極的平和主義を今こそ全面展開すべき
4月21日、スーダンに在留する邦人を国外に退避させるため、C-130輸送機1機がジブチ共和国に向け出発した。
我が国のウクライナ支援は、軍事的観点のみならず経済的観点も重要である。ウクライナ政府がTPP11への加盟申請を近く決定する方針であるとウクライナの通信社が伝えたが、私にも同様の情報がウクライナ関係者よりもたらされている。
TPP11は日本がリーダーシップを取って実現した経済連携協定であり、日本がその中心にある。もしウクライナより正式に加盟申請があればそれを認め、経済的にウクライナを支えるとともに、自由で適正なルールに基づいた貿易連携による各国の経済の安定と「経済同盟」により世界の平和を守っていく責任が日本にはある。
そして、日本が経済面だけでなく安全保障面で積極的に貢献しリーダーシップを取っている事例は、すでに大きな実績を挙げているものがあり、大いに参考とすべきだ。
それは、アフリカ・中東のアデン湾、ソマリア沖における自衛隊の海賊対処行動である。今回、スーダンからの日本人脱出の支援地となったジブチには、海賊対処行動のための自衛隊初の海外拠点が2011年から設置されている。
2008年の国連安保理決議以降、日本はこの地域に護衛艦と哨戒機を常時展開し、日本の護衛艦は、24時間365日、1日も欠かさずアデン湾で哨戒活動を実施し、哨戒機もほぼ毎日、哨戒飛行を実施している。海賊対処行動は、自衛隊派遣部隊が各国派遣部隊に対し担当海域を割り振るなど、日本が中心となっている。
これにより、年間200件以上あったこの海域での海賊事件は、今では被害なしという状況となった。また、2019年のジブチの豪雨と洪水災害の際には、延べ277人の自衛隊員と車両30両で、ジブチ市内の小・中学校の排水作業や支援物資の輸送を行った。こうした貢献はジブチ国内のみならず、世界各国から感謝をされ、日本の外交的地位を高めている。
日本は積極的平和主義を今こそ全面展開すべきである。アデン湾、ソマリア沖における海賊対処行動のみならず、地域の平和維持活動や侵略国への対峙において、国連の枠組みがなくとも日本は積極的役割を果たすべきである。
現行憲法を押し付けられてから76年。日本は戦後レジームから脱却し、安全保障面でも経済面でも世界のリーダーとなり平和に貢献するよう俯瞰的な行動と政策を打っていくべきだ。