憲法9条によって平和が守られてきたのではない
5月3日は憲法記念日である。日本国は「憲法9条によって平和が守られてきた」という人たちがいるが、実際に我が国を外国の侵略から守ってきたのは自衛隊であり、自衛隊を支え我が国を断固守るという国民の意志であり、同盟国米国の存在である。
一方で、これまで日本は「一国平和主義」的な立ち居振る舞いをしてきた。しかし、国際的に安全保障環境が緊迫し、ロシアによるウクライナ侵略のなか、もう「一国平和主義」的考えは日本は完全に捨てるべきであり、安倍政権が掲げた、世界の平和と安定のために積極的に取り組む「積極的平和主義」をさらに強化していく必要がある。ひいてはそれが我が国の世界的重要性を高め、我が国の平和を守ることにつながるからだ。
我が国はこれまで、「日本だけが守られ、平和であればそれで良い」という考え方でも平和を維持することができた。防衛力の強化と日米同盟の強化でそれが可能だったのだ。しかし、中国や北朝鮮、ロシアといった想定できない軍事行動を取る国が出現し、第三次世界大戦が起こるかもしれないという国際情勢はこうした環境を完全に変えた。
NATOは軍事的に緊密に連携し多国籍部隊をポーランドに派遣して自らを守るとともに、隣接する侵略国ロシアに立ち向かうため、ウクライナに戦車を供与するなどして支援している。日本も独自にウクライナを支援しているが、果たして十分な支援と言えるのかを考えなくてはならない。
日本は防衛装備移転三原則により、共同開発国を除き、殺傷能力のある武器を輸出することは極めて困難である。国民の間において、「人を殺傷するような武器の輸出までするのはどうか」という疑問があることからもそうした状況が続いてきた。
しかし、侵略国に立ち向かう国を支える状況は、「明日は我が身」と言えるものであり、もし日本が外国から侵略を受けた際に、支援国に「我が国はここまでしかできません」と言われたら、それでも感謝をするとは思うが、正直なところ「もう少し力を」と思うはずだ。
ウクライナへの軍事支援は可能か?
日本は現在、ウクライナに対して防弾チョッキ1900着、ヘルメット6900個を支援しているが、例えば自衛隊において順次退役させている多連装ロケットシステム(MLRS)は、ウクライナが各国に供与を希望しているものだ。現状の防衛装備移転三原則では、直接的な輸出は無理である。
しかし、退役した装備は「防衛装備品」ではなくなることから防衛装備移転三原則からは離れ、その後の処分についての方策は取りようがある。さらに、防衛装備移転三原則そのものを見直すことも考えるべきである。
繰り返しになるが、こうしたことはこれまで我が国においては考えられてこなかったし、議論もされてこなかった。一国平和主義の観点で、避けてきたとも言える。しかし、それではもう侵略国に立ち向かえなくなってしまったし、侵略国の横暴を許せば世界各地に波及してしまう。
日本はロシアと国境を接している。日本の弱腰姿勢や一国平和主義的考えは、ロシアが日本に対し侵略を始めるきっかけとなる危険性がある。ロシアは絶対にそんな考えを持たないと考えるのはあまりに楽観的である。事実、ロシアはウクライナを侵略したし、ウクライナで行っている虐殺や暴虐行為は、ソ連が満州侵攻において日本人に対して行ったことと全く同じである。
日本人と同様の苦しみの下に置かれているウクライナを最大限支援することは、我が国の責務である。