日本も気球対処の法整備が必要|太田文雄

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中国側は問題のバルーンについて、「民間の気象研究用で不可抗力により米国上空に誤って入った」と説明している。回収される残骸の分析でいずれ真相が明らかになるであろうが、これは大嘘だ。


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今回、バルーンは米国のモンタナ州上空で観測されたが、この地域には大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射基地があり、司令部と配下部隊の交信内容を収集する目的があったのではないかと思われる。

かつて筆者がカナダ太平洋軍主催の国際会議に出席した際、中国の国家海洋局員は、北極海での同国砕氷船「雪龍」の活動を「北極海の気団が中国本土に与える影響の調査のため」と説明し、民間の科学調査が目的であるかのように発表していたが、個別に聞いてみると「北極海航路開設と資源探査」が目的だと明かした。今回も中国政府の公式発表と実際の目的とは異なるだろう。

バルーンの領空侵犯が原因で、米政府は予定していたブリンケン米国務長官の訪中を延期した。日本政府はこうした毅然とした態度を見習うべきだ。(2023.02.06国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)

太田文雄

https://hanada-plus.jp/articles/429

国基研企画委員兼研究委員。1948年生まれ。1970年防衛大学校卒、米海軍兵学校交換教官、ゆうぐも艦長、スタンフォード大学国際安全保障軍備管理研究所客員研究員、米国防大学卒(国家資源戦略修士取得)、第1・64護衛隊司令、在米日本大使館国防武官、統合幕僚学校長を経て情報本部長(約3年)、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院博士課程終了(国際関係論博士取得)、2005年定年退官(海将)。防衛大学校教授兼政策研究大学院大学安全保障・国際問題博士課程連携教授、2013年第二の定年退官。現在国家基本問題研究所企画委員。 著書に『同盟国としての米国』など。

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