グローバリストが習近平を礼賛する理由
実際、アメリカやオーストラリアでは、保守的な言動をすれば物理的な攻撃の対象になりかねない。CPAC Australiaは2019年に初めて開催したものの、コロナ・パンデミックに加え、会場に押しかけた反対派との揉み合いが流血騒ぎになったこともあり、2022年まで再開できなかった。
2022年の開催も、わずか3週間前に突然、会場側から一方的にキャンセルされて、大急ぎで会場を変更しなくてはならない事態となった。保守派の集まりに会場は貸せないというのだから呆れる。
CPAC Japanが左翼活動家に妨害されることはないし、日本では保守系のユーチューバーが人気を博すなど、アメリカやオーストラリアよりはましな状況かもしれないが、日本政府はアメリカの左派政権、グローバル企業、国連や世界経済フォーラム(WEF:ダボス会議主催者)のような国際機関に完全に牛耳られているので、まったく予断を許さない。
そして、ファンティーニ氏が述べた次の言葉が非常に重要だ。
「世界の保守派は、小さい違いに拘泥せずに連携しなくてはなりません」
全くその通りである。日本では保守派内部でも、共通点よりも差異にばかり拘って攻撃したり、揚げ足取りばかりが行われている傾向がある。そんなことをしている余裕は全くないはずだ。
押し寄せるグローバリズムがなぜ脅威なのか?
それは繰り返し述べているとおり、極めて覇権主義的、独裁主義的性格を持っているからだ。グローバリストたちは自分たちの利益を極大化するために、思想や言論の自由を抑圧することになんの躊躇もない。その姿は結果的に共産主義に酷似する。
従って、グローバリズムを国際共産主義と言い換えてもよい。WEFのクラウス・シュワブ氏やメタ(Facebook)のマーク・ザッカーバーグのようなグローバリストが中国と習近平を礼賛するのはそれ故だ。
「日本は偉大なリーダーを失った」
このような厳しい状況にあって、反グローバリズムが偏狭なナショナリズムや国粋主義に陥ってはならない。アメリカがかつて無差別絨毯爆撃で非武装の日本人市民を皆殺しにし、原爆を2発も都市部に投下し、戦後一貫して日本を属国扱いしてきたことが事実であっても、全てのアメリカ人を敵と考えるべきではない。
北米にもオセアニアにもヨーロッパにも南米にも、健全な保守思想を持つ愛国者たちがいる。それぞれが孤立して戦っていては、強大なグローバリズムに飲み込まれてしまう。
私自身、今回のCPAC Japanでは貴重なネットワークを作ることができた。グローバリズムの津波に対抗できるのは、独自の文化、伝統、歴史を大切にし、主権を重んじる健全な愛国者たちが連携する国際的連携(internationalism) であることをしっかりと認識することが極めて重要だ。保守主義イコール孤立主義、排外主義ではない。その意味でCPACが日本で開催されることの意義は大きい。
閉会前に、トランプ前大統領からの緊急ビデオメッセージが寄せられた。次回は直接会えるかもしれない、と前置きしながら、次のようなメッセージが発せられた。
「シンゾー(安倍元首相)は卓越したビジョンを持ち、日本と日本国民を愛していた。シンゾーのような人材は二度と現れないだろう。シンゾーと彼の支援者のことを思うと胸が痛む。日本は偉大なリーダーを失った。彼は安全保障と日本の防衛力強化を真剣に考えていた。私も同じ意見だった」
もし安倍元首相が存命だったら、きっと今回のCPAC Japanで熱弁をふるったことだろう。その損失はあまりにも大きいが、残った人間が勇気をもってその遺志を継がねば日本国は遠からず消滅する。トランプ前大統領の言葉をかみしめながら、前に進むしか我々に残された道はない。
※本稿はフーミーメルマガ「山岡鉄秀の対外情報戦で勝ち抜けろ」からの加筆修正版