「悪の取引」を許すな
3月、ロシアは、ウクライナがなかなか降伏しないことに焦り、北朝鮮と中国に軍事支援を求めていた。ロシアのショイグ国防相が3月、北京を訪れ、中国人民解放軍幹部と北朝鮮人民軍幹部と秘密会談を持った。
ショイグ国防相は訪朝を希望したが、コロナ問題で外国人の入国を拒んでいる北朝鮮が北京での会談を逆提案したという。そこでショイグ国防相は中国にミサイルなどの提供を求め、拒絶されている。
北朝鮮には特殊部隊の派兵とミサイルとその部品の提供を要請し、北朝鮮は検討すると答えたが、実際は拒絶した。金正恩はロシア軍が予想に反して弱いのを目にして、ロシアを全面的に支持すると表明しつつ、戦争への介入を避けるという方針を決めていたからだ。
しかし、今回、金正恩はプーチンの頼みを受け入れ、くず鉄ミサイルを軍事作戦として発射しまくり、不発率5割の砲弾を密輸出することでロシアの戦争を助けた。その見返りが、金正恩が喉から手が出るほど欲しい精製石油と最新鋭戦闘機だった。北朝鮮との武器取引は国連制裁違反だ。また、精製石油の北朝鮮への輸出も国連制裁により厳しい上限がある。
ロシアは国連常任理事国として自国も賛成して決めた国連制裁を公然と破っている。我が国は米国、韓国とも協力してその明確な証拠をつかみロシア、北朝鮮の「悪の取引」を止めさせるために全力を尽くすべきだ。
モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授。1956年、東京生まれ。国際基督教大学卒業。筑波大学大学院地域研究科修了(国際学修士)。韓国・延世大学国際学科留学。82〜84年、外務省専門調査員として在韓日本大使館勤務。90〜02年、月刊『現代コリア』編集長。05年、正論大賞受賞。17年3月末まで、東京基督教大学教授。同4月から、麗澤大学客員教授・モラロジー研究所「歴史研究室」室長。著書に『でっちあげの徴用工問題 』など多数。