「オール沖縄」から「沖縄」を取り戻す!|和田政宗

「オール沖縄」から「沖縄」を取り戻す!|和田政宗

那覇市長選で自民党が推薦する知念覚候補が、革新のオール沖縄系候補を破り初当選を果たした。「オール沖縄の政策では未来が開けない」。今年沖縄で行われた7市全ての市長選で、自民推薦候補が勝利したのはまさに沖縄県民のそうした声の表れである――。


「オール沖縄」、7市長選で全敗!

那覇市長選で自民党が推薦する知念覚候補が、革新のオール沖縄系候補を破り初当選を果たした。相手候補は、故翁長雄志・元沖縄県知事、元那覇市長の子息で前県議であったが、1万票差をつけ、終わってみれば完勝と言える内容であった。

当初は、知念氏が不利と見られていたが、城間幹子那覇市長が市長選告示の4日前に知念氏を支持することを表明。城間市長はオール沖縄系の支援を受けて当選したが、最近のオール沖縄の姿勢に疑問を呈し、「保守中道」の原点に立ち返るとして、那覇市副市長であった知念氏への支持を表明した。

当然、オール沖縄は大反発し裏切り者扱いしたが、那覇市の将来の発展のために城間市長は知念氏支持を決断した。「オール沖縄の政策では未来が開けない」。今年沖縄で行われた7市全ての市長選で、自民推薦候補が勝利したのはまさに沖縄県民のそうした声の表れである。

今年、沖縄における市長選挙は、名護市長選、南城市長選から始まった。名護市は、辺野古に米軍キャンプシュワブがあり、前回4年前の選挙では、辺野古への米軍普天間基地移設反対を掲げるオール沖縄系の現職市長に対し、自民党が推薦する新人の渡具知武豊氏が大激戦の末、勝利した。

今年の選挙も相手候補はオール沖縄系であったが、5千票差の完勝であった。また、南城市長選では、前回オール沖縄系候補に敗れた古謝景春氏が、現職市長を破り返り咲きを果たした。

そして、オール沖縄の退潮を象徴的に表した選挙が、今月9日に行われた豊見城市長選であった。オール沖縄系の現職候補を、自民党が推薦する新人候補が破った。新市長となった徳元次人氏は41歳。現職は48歳であったが、それよりさらに若い候補を自民党は擁立し勝利に繋げたのである。

今、沖縄ではこのように若い方々を中心に政治への危機意識と関心が高まっている。オール沖縄に任せていたら、沖縄の発展は失われ、平和は危険にさらされるという考えである。

このままで沖縄を守れるのか?

今回の那覇市長選のNHKの出口調査では、10代から50代までは知念氏への投票が半数を超え、特に30代は知念氏に約70%が投票。一方、60代と70代以上は翁長氏への投票が半数を超え、特に70代以上は翁長氏に約60%が投票した。

つまり、現役世代は知念氏に投票し、60代以上は翁長氏に投票するという、沖縄や全国各地で見られる世代間による保守系支持、革新系支持の違いが那覇市長選でも見られ、今回は現役世代の投票が強く出たため知念氏の勝利に繋がったのである。

これは、投票で何を最も重視したかにも表れており、NHKの出口調査では、「経済振興」が32%で最も多く、次いで「教育・子育て支援」が27%、「医療・福祉の充実」が17%で、革新系が強く打ち出す「基地問題への対応」は16%と4番目であった。

このうち、「経済振興」と答えた人の70%台半ばが知念さんに投票し、「基地問題への対応」と答えた人の80%台半ばが翁長氏に投票した。現役世代は、経済振興と教育・子育て支援充実のためには、自民推薦の知念氏の当選が必要という考えに至った。オール沖縄系候補ではこうしたことはままならないと判断したのである。

知念氏の政策も現役世代を意識したもので、これがピタリと当たった。高校までの医療費無料化や給食の無料化を公約とした。親の経済状況で子供に格差を生み出してはいけないという考えであり、これらが支持された。

そして、多くの現役世代にとって安全保障上の重要な課題は、「基地問題」ではなく「国防」となっている。私は沖縄を度々訪問するが、国防に対する意識が若い世代で変わってきていると実感している。このままで沖縄を守れるのか、という考えである。

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