中国、ロシア、北朝鮮……「戦争をさせない」ための国づくりを急げ!|和田政宗

中国、ロシア、北朝鮮……「戦争をさせない」ための国づくりを急げ!|和田政宗

抑止力を高める議論をするだけで、『「戦争する国づくり」を許すな!』と主張する日本共産党。アジアの安全保障環境が急激に変化し危機的状況となっているなか、ではどうやって我が国を守るのか。「戦争をする」のではなく、「戦争をさせない」ための国づくりが今こそ必要だ!


北朝鮮の狙いはどこにあるのか

北朝鮮が立て続けに弾道ミサイルを発射している。10月4日のミサイルは日本上空を超えて太平洋に向けて撃たれ、全国瞬時警報システム(Jアラート)によりミサイル発射情報が通知され、国民保護サイレンが北海道や青森県、東京の島しょ部や千代田区などで鳴った。

ミサイル破壊措置は取られなかったが、そもそも我が国上空を超えてミサイルを撃たれること自体が由々しきことである。

ミサイルが撃たれる中、身を守るために避難行動を取らなくてはならないのは、先の大戦下において空襲警報の中を逃げ惑った状況と同じである。4日のミサイル発射は小中学生の登校時であり、発射情報に接した児童生徒の中には、どのように身を守ったら良いか分からない子もいた。

平成29(2017)年に我が国上空を超えるミサイルが撃たれた後には、文部科学省が全国の教育委員会に、ミサイル発射情報が出た場合どのように身を守る行動を取るべきかの文書を発出し、学校教育現場でも周知された。

しかし5年が過ぎ、学校現場でミサイルが撃たれた際の行動について周知はなされておらず、私はすぐに文部科学省の幹部に話をし、文科省の学校安全ポータルサイトに「Jアラートによる情報伝達と学校における避難行動」のページを作成してもらった。

だがそもそも、ミサイルを日本上空に撃たれること自体を防がなければ、国民の安全は守れない。

北朝鮮の狙いはどこにあるのか。

4日のミサイルは飛翔距離4600kmとグアムに届く距離である。北朝鮮は最終的に米国本土まで届く弾道ミサイルの開発を目指しており、日本上空を超えたミサイル発射を繰り返す可能性が強い。しかもこれら弾道ミサイルに核弾頭を搭載することを目指している。

10月9日未明に発射された2発のミサイルは潜水艦発射型の弾道ミサイル(SLBM)であった可能性があり、より探知されにくい発射手段の開発も進む。

「ミサイルを撃たせない」ために必要なこと

現在、防衛省・自衛隊においては、ミサイル発射直後から探知ができ、落下地点の推定もなされているが、北朝鮮の弾道ミサイルは変則軌道型の開発が行われ、北朝鮮は日本の国土に落ちても構わないと考えているから、必ず日本上空を通過するとは思わないほうが良い。我が国に落下する可能性があれば、当然、迎撃し破壊措置を取る。

しかし、根本的に撃たせないようにするためには、敵基地反撃能力を日本が保有し、日本上空を通過するミサイルに対して断固たる姿勢を取ることである。敵基地反撃を想定した演習を行い、国際社会と協調して圧力と制裁を強めることが重要だ。

北朝鮮は決してロシアや中国国土を飛び越えてミサイルは撃たない。北朝鮮は「日本は結局何もしてこない」となめているが、日本はいざという時に行動する国であるということを認識させるべきである。

そのためには、やはりスタンドオフミサイル(長距離巡航ミサイル)の早期開発・配備。垂直離着陸戦闘機F-35Bと、離着陸できるいずも型護衛艦の早期整備。さらに、防衛費を対GDP比2%以上確保し、どの国からも侵略しようと思わせない防衛力と敵基地反撃能力を持つことが必要である。

北朝鮮のこのところのミサイル発射は、米国本土まで届くミサイル開発、日米韓合同訓練への対抗、国際社会へのアピールなどであるが、北朝鮮国内においては食糧不足への不満が高まっている。北朝鮮が混乱状態に陥り、無政府状態になることも想定しておくべきであり、日本政府はその際には北朝鮮に拉致された方々を真っ先に救出すべきである。

しかしそれができるかと言えば、十分に対応できる状況にはなっていない。

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