「野党共闘」の効果はあった
今年は参議院議員選挙や沖縄県知事選挙などを控える選挙イヤーであり、例年以上にまったく気の抜けない1年となる見込みだ。しっかりと勝つことができれば、憲法改正をはじめとする我が国にとって成すべき課題について大いなる前進となる。
もし仮に参議院においてねじれが生じてしまえば、一気にそうした課題の改善もしぼんでしまい国政課題も前に進まなくなる。まさに正念場を迎えるこの1年である。
まず、参院選であるが、立憲民主党、共産党を中心とする野党共闘が成るかが、大きなカギとなるだろう。昨年の衆院選においては、野党共闘勢力は「立憲共産党」と揶揄されたことにより、共闘効果は発揮されず議席を減らしたかにみられている。
だが、実際は立憲、共産各党においては議席を減らしたものの、小選挙区において自民党が得ていた15議席を共闘側によってひっくり返されている。実は、共闘効果はしっかり出ていたのだ。
衆院選後、自民党は全体で15議席も減らしていながら「勝った」というムードが一部で生じたのは、まったく認識が甘いと言える。安倍政権では、その高い信頼と支持から、衆院選序盤において「自民300議席前後に達する見込み」とのメディアによる分析によって、結局280~290議席前後という数字となる結果が続いた。
岸田政権の支持率はあてにならない
しかし、今回の岸田政権下における衆院選では、メディアによる事前の大負け予想から国民が危機意識を持ち、自民党への投票行動につながったということが言える。
決して岸田総理への信頼が高いから勝ったのではない。政権が立憲・共産の共闘勢力に渡ってしまうことは避けなくてはならないという国民の危機意識その1点でのみの勝利であったという意見は大勢であるし、その分析は私は当たっていると思う。
そして、今年の参院選。立憲・共産が手を組むのであれば、自民党は厳しい結果が待ち受けていることを実感し、それを覆すために必死に取り組まなくてはならない。
前回、令和元年(2019年)の参院選では、定数2から1に減員となった宮城、新潟、長野において、いずれも野党共闘候補に自民公認候補が敗れた。得票を分析すると、野党共闘により共産党の過去の得票分が乗った分だけ負けているのである。
すなわち、1人区で共産党が独自候補を立てれば、野党の票が分散して自民党が勝利する。もし野党が共闘すれば自民党が負けるという結果なのだ。
これを覆すためには、現在のように7月の参院選まで押し迫った状況においては、地道な活動を展開するなどやるべきことは必死にやることを前提として、自民党への信頼をどう勝ち取るかにかかっていると考える。
岸田政権は60%を超える内閣支持率であるが、決して信頼からこの数字になっているとは言えない。ふわっとした感覚で参院選に向かえば、直前に何か政権に不利な材料が出ただけで、一気に政権支持や自民党支持の流れはまったく逆に変わってしまう。
新型コロナ禍における国民の苦難をしっかりと政権与党として受け止め、経済や所得が回復するための施策を打ち続けることが肝要だ。