なべやかん遺産|「ゴジラvs.コング」

なべやかん遺産|「ゴジラvs.コング」

芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「ゴジラvs.コング」!


『ゴジラVSコング』をまだ観ていない人の為にあまりネタバレせずに書くが、今回の映画は「オマージュ?」と思わせるシーンが多々ある。

コング輸送のシーンは『キングコング対ゴジラ』(1962)、コブラのような新怪獣・ワーバットとコングの戦いは『キングコング』(1976)のオマージュを感じる。ワーバットの口を引き裂いてくれたらキングコングと巨大蛇の戦いが重なったのに。

コング輸送シーンは楽曲をそのまま『キングコング対ゴジラ』から持って来ても良かったな。もし使われていたら、鳥肌ものだ。失禁してしまったかもしれない。

今回のコングに関して「おっ!!」と感じたのは、鼻から上の顔のアップ、つまり目や目元が1933年のキングコングの顔とだぶる所が良かった。1933年のキングコングはゴジラ誕生のきっかけでもあるので、コングの歴史を感じられる。
 
1962年に日本で作られた『キングコング対ゴジラ』では、両者の対決はドローで終わったが、今回は決着が付いたのも良かった。そして、早い時期に玩具でネタバレしてしまったメカゴジラ登場で更なる演出が用意されている。これは是非劇場で観て貰いたい。

ムービーモンスターシリーズのゴジラとコング。

なぜハリウッドはあのゴジラで良いと思えるのか

今回の映画は人間ドラマ少々、あとは怪獣をたっぷり見せてくれている。迫力あるシーン、構図の素晴らしいシーンが多々あり満足度数が高い。

がしかし、ただ一つ文句がある。それは、ゴジラのデザインだ。モンスターバースのゴジラからは本来のゴジラのかっこよさを感じられない(致命的)。

日本で最初にゴジラを作った人は利光貞三さんだ。粘土で雛型を作り、人が入るぬいぐるみを作った。利光さんこそ日本の怪獣着ぐるみ界の神である。その後、多くの怪獣作りの神が誕生するが、利光さんは別格だ。

ゴジラ作りは利光さんから、安丸信行さん、小林知己さん、品田冬樹さん、若狭新一さんへと継承されていった。今までと違うシン・ゴジラ(竹谷隆之さんが雛形制作)ですらシルエットは利光さんの作った初代ゴジラである。

なぜハリウッドはあのゴジラで良いと思えるのかがわからない。

そして、あのゴジラデザインにOKを出した版権元の東宝も理解出来ない。ゴジラをどうデザインしようが自由だが、先人をリスペクトせずカッコ悪いデザインにする事は罪である。

もしも今回のゴジラが本来のカッコ良いゴジラであったら、商品の売れ方も違うだろう。

モンスターバースのゴジラでは自分自身もあまりフィギュアを買わない。先人をリスペクトし継承されたデザインだったら、俺は破産するほど玩具を買う。

ゴジラの良ければこの先もお金をガンガン生んでいく。
 

多少見慣れて来たけど、やっぱり駄目だよね。

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