6月7日、韓国ソウル地裁が朝鮮人戦時労働者問題で正当な判決を下した。元労働者ら85人が日本企業16社を相手取り、慰謝料1億ウォン(約1000万円)ずつを求めた訴訟で、訴えを却下したのだ。
43ページにわたる判決全文を読み、裁判長を務めた金亮澔(キムヤンホ)部長判事のバランス感覚と愛国心に心を打たれた。
「最終的解決」を確認
現在の日韓関係の悪化の発端は2018年10月の韓国大法院(最高裁)の戦時労働者判決だ。同判決の根本的問題は、日本の朝鮮統治を不法なものと断定して、不法行為に対する慰謝料は1965年の日韓基本条約と請求権協定で「最終的に解決」された請求権の問題に含まれないとする独善的な主張を展開したことだ。
今回のソウル地裁判決の一番の功績は、この大法院判決を覆したことだ。すなわち、「条約不履行を正当化するために国内法規定を援用してはならない」という国際法の原則を確認した上で「大法院判決は植民地支配の不法性とそれを理由とする徴用の不法性を前提としているが、それはただ国内法的な解釈に過ぎず、このような国内法的な事情だけで、植民地支配の適法または不法に関して相互合意を得られないまま一括して被害者の請求権等に関して補償または賠償することで合意に至った『条約』に該当する請求権協定の『不履行』を正当化できない。従って、大韓民国は依然として国際法的には請求権協定に拘束される」と明確に書いた。その上で、原告の求めるとおり強制執行を行い日本企業の財産を侵害した場合、「大韓民国の文明国としての威信が地に落ちる」とまで指摘した。