大中華主義と民主主義の戦い
今こそ問うべきだ。世界を大中華主義で染めたいのか。人権弾圧を続けて民主主義を息絶えさせたいのか。国際法を中華の法の支配に替え、世界秩序を大転換したいのか、と。そうではない。たとえ不完全でも私たちは民主主義体制を守りたい。国際法を遵守し、人権を尊重し、人種、民族、宗教に拘わらず全ての民族、全ての人々の自由と尊厳を守りたい。
バイデン米大統領は民主主義グローバルサミットを今年開くと公約した。まさに価値観の戦いである。中国の一党独裁専制政治とは正反対の道を探る米国に、わが国は全面的に協調するのがよい。その第一歩として北京冬季五輪の開催地変更を世界に呼びかけよ。中国との熾烈な価値観の戦いで譲ることは、民主主義の道を喪(うしな)うことだ。(2021.02.22国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
国家基本問題研究所理事長。ベトナム生まれ。ハワイ州立大学歴史学部卒業。「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙東京支局員、日本テレビ・ニュースキャスター等を経て、フリー・ジャーナリストとして活躍。『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』(中公文庫)で大宅壮一ノンフィクション賞、『日本の危機』(新潮文庫)を軸とする言論活動で菊池寛賞を受賞。2007年に国家基本問題研究所(国基研)を設立し理事長に就任。2010年、正論大賞を受賞。著書に『何があっても大丈夫』『日本の未来』『一刀両断』『問答無用』(新潮社)『論戦』シリーズ(ダイヤモンド社)『チベット 自由への闘い』(PHP新書)『朝日リスク』(共著・産経新聞出版)など多数。