中台関係は「準戦争状態」|矢板明夫

中台関係は「準戦争状態」|矢板明夫

中国が台湾に侵攻した場合「台湾のために戦う」と答えた人が77.6%と、史上最高の数字を記録した。中台間で武力衝突が起きれば、沖縄の米軍基地が中国によって攻撃されることも十分考えられる。日本にとって決して人ごとではない。日本国民はもっと台湾海峡の情勢に目を向けるべきだ。


台湾のシンクタンク、両岸発展研究基金会が10月24日に発表した世論調査によると、中国が台湾に侵攻した場合「台湾のために戦う」と答えた人が77.6%と、史上最高の数字を記録した。今年6月の香港での国家安全維持法施行によって「中国に併合されたくない」と考える台湾人が急増したことも高い数値の背景にあるといわれる。

中台間で武力衝突が起きれば、沖縄の米軍基地が中国によって攻撃される可能性もあり、日本にとっても人ごとではない。日本国民はもっと台湾海峡の情勢に目を向けるべきだ。(2020.11.02国家基本問題研究所「今週の直言」)

著者略歴

矢板明夫

https://hanada-plus.jp/articles/349

産経新聞台北支局長。1972年、中国・天津市生まれ。15歳の時に残留孤児2世として日本に引き揚げ。97年、慶應義塾大学文学部卒業。同年、松下政経塾に入塾(第18期)、アジア外交が研究テーマ。その後、中国社会科学院日本研究所特別研究員、南開大学非常勤講師を歴任。2002年、中国社会科学院大学院博士課程修了後、産経新聞社に入社。さいたま総局記者などを経て、07年から中国総局記者。20年から現職。著書に『習近平なぜ暴走するのか』(文春文庫)。最新刊は『中国人民解放軍2050年の野望』(ワニブックスPLUS新書)。

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