日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人を菅政権が認めなかったことは学問の自由を侵害するとして、朝日新聞などで連日批判的に報道されている。しかし、安倍政権時代の2016年にも、首相官邸が会員候補に難色を示し、70歳定年の下で、3人の欠員が補充されなかった。2018年11月には、学術会議が推薦した人を任命する義務は政府に無いことを内閣法制局が了承している。
6人は安保・治安立法に反対
すでに6人の教授の氏名・所属と活動履歴が報道により判明している。いずれも、集団的自衛権の行使を限定的に容認した安全保障関連法など安保・治安立法に反対した人物である。
東大A教授(政治思想史)は2013年に成立した特定秘密保護法に反対し、「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼び掛け人。早大B教授(行政法)は「安全保障関連法案の廃止を求める早稲田大学有志の会」の呼び掛け人で、沖縄県辺野古の米軍基地建設をめぐり政府の対応に抗議する声明を発表。東京慈恵医大C教授(憲法学)は安保関連法案について「歯止めのない集団的自衛権の行使につながりかねない」と廃案を求めた。東大D教授(日本近現代史)は学者らによる「立憲デモクラシーの会」の呼び掛け人で、改憲や特定秘密保護法に反対。立命館大のE教授(刑事法)は2017年の改正組織犯罪処罰法案を「戦後最悪の治安立法」と批判。京大のF教授(キリスト教学)は「安全保障関連法に反対する学者の会」や、安保関連法案に反対する「自由と平和のための京大有志の会」の賛同者である。