バイデンは「任期満了までもたない」が59%
「この人は大統領になっても任期満了までもたない」 米民主党の大統領候補、ジョー・バイデン(77)の演説を聞きながら、彼の記憶力の衰えに驚きつつ、そう思った。
驚いたことに、同じように感じたのは私だけではなかった。ラスムセン社の世論調査によると、米国人の59%は「バイデン氏は四年後の任期満了まで務められない」と答え、民主党支持者へのアンケートでさえも49%が「任期満了までもたない」と答えている。
もし在任中、バイデンになにかあれば、自動的に副大統領がその任を引き継ぐ。民主党の副大統領候補はいままで以上に大事な選択になる。八月、バイデンが副大統領に指名したカマラ・ハリスはどのような人物なのか。
インド人の母とジャマイカ人の父の間に生まれたハリスはハワード大学を卒業後、カリフォルニア大学ヘイスティング校で法律の学位を取得。2003年にはサンフランシスコの連邦検事となり、2010年、カリフォルニア州検事総長に当選、2017年には史上二人目となる黒人女性の上院議員になった。
昨年一月、民主党大統領候補として出馬を表明。出馬表明から二十四時間に集めた寄付金は、同じく大統領候補だったサンダーズを上回る額だった。
ハリスは最初の民主党候補の討論会で、バイデンを強く攻撃している。人種差別解消を目的に、黒人居住区の子供を白人居住区の学校に通わせるバス通学制度「バシング」について、かつてバイデンが反対していたことをこう批判した。
「私もバシングのおかげで公平な教育を受けられた世代の一人だ」
バイデンは「私はバシングに反対したのではない。教育省によって命じることに反対したのだ」と、政府による義務付けに対する反対だったと反論したが、討論会ではハリスに軍配が上がり、支持率は上昇。
黒人の恨みを買ったカマラ・ハリスの“功績”
しかし、2回目の討論会からハリスは他の候補から叩かれ始める。問題とされたのは、彼女の検事としての“功績”だ。
彼女は検事時代、少量の大麻所持の罪で1500人(そのうちの大半が黒人といわれている)を刑務所に送った。独房監禁廃止を求める闘いにも参加せず、死刑廃止を要求する2つの住民投票提案にも不支持を表明。カリフォルニア州連邦地裁が憲法違反として死刑判決を取り消したときも、ハリスは上訴している。
リベラルな人権派のように振る舞っているが、これまでやってきたことはまったく逆だったのだ。他の候補から総攻撃を受け、二回目の討論会後、ハリスの支持率が急降下。支援金も足りず、大統領選から撤退した。
彼女のキャリアを見ていると、いつも権力を持った者にすり寄っている。多くの富裕層の黒人を軽犯罪で取り締まる一方で、民主党に寄付するシリコンバレーの大手企業には甘かったという話もある。
上院議員になってもシリコンバレーに深いつながりを持つ議員として有名だ。民主党内で極左派が力を持つようになると、いきなりハリスは移民問題や警察組織の予算削減運動、BLM運動などを支持し始めた。
極めつきは昨年2月、ラジオのインタビューでの発言だ。黒人のパーソナリティがハリスに質問した。
「マリファナを吸ったことがあるか」
彼女は笑いながらこう答えた。
「あるわよ。でも昔の話で、規則を破ってしまっただけ」
当然、大麻所持で彼女に起訴され、収監された人々はこの発言に反発。極左派を味方につけるためマリファナ使用を認めたのではという意見もあるが、彼女のいままでやってきたことを自ら否定するような発言だ。
結局、ハリスには理念などなく、権力に弱い政治家なのだ。権力を追いかけ、自分の理念などなく、強い者にすり寄る。私はそんなハリスを東京都知事の小池百合子と重ねてしまう。
どちらも女性であること(ハリスの場合はさらにマイノリティであること)を政治利用するが、女性のために何か一つでも問題を解決したかといえば、していない。
十一月の大統領選はコロナ、経済の悪化、中国の台頭、差別問題など国難を乗り越えるための選挙といっていい。
しかし、米国民は「悪党トランプ」(Evil Trump)か、「ボケ・バイデン」(Senile Biden)しか選択肢がない。
しかも、「ボケ・バイデン」を選んだ場合、「米国の小池百合子・ハリス」が大統領になるかもしれないのだから、気の毒というしかない。