止まらないゴジラ愛
特撮が好き、キャラクターが好き、その中で何が一番好きかと聞かれたら迷わず「ゴジラ」と答える。ヒーローも好きだし宇宙人も怪人も好きだけど、巨大怪獣がやっぱりいいね。特撮世界だから非現実的なものを見せてもらいたいわけだから、等身大より巨大、巨大でもロボットではなく生物がいい。
そうなると、やっぱり怪獣って事になり、怪獣と言ったら“ゴジラ”なのだ。『月刊Hanada』連載時から何度もゴジラ愛を書いているが、何度同じ事を書いてもこの愛は止まらない。
日本には世界に類を見ない程、沢山の怪獣がいる。それら全ての始まりがゴジラであるのだ。怪獣と言えば『ウルトラマン』には沢山の怪獣が登場している。そんなウルトラマンもゴジラ抜きでは語れない。
第一次怪獣ブーム時代の子供達がバイブルとして読んでいた円谷英二監修『怪獣大全集1 円谷怪獣のひみつ』(ノーベル書房)にはゴジラ世界とウルトラマン世界が繋がる設定がいくつか書かれている。ゴジラの出現が全ての始まり。そんな事を知ってしまうと、興奮状態もMaxだ。
仮に地球の何処かで巨大怪獣が本当に現れたとしたら人々は「ゴジラ」と言うに決まっている。ニュースや新聞にも「ゴジラ出現」と書かれるだろう。
同じ有名キャラでも、巨大ネズミや二本足のネズミを見ても「ミッキーマウスだ」って言う人は少ないと思うよ。(マニアは「ネズラ」と言うだろうな)だからゴジラは凄い。凄すぎる怪獣なのだ。
大好きなゴジラであるが、リアル造形のガレージキット類は数えられるくらいしか持っていない。何故持っていないかというと、好きすぎて中々納得のいく造形の物がないから入手していない。
造形物で一番説得力があるのが、撮影用の物。たとえ適当でチープな作りであっても、それこそが本物だから納得出来るのだ。
教科書に載せるべき6人
前回の原稿で『雛型』について書いたが、今回はゴジラと東宝怪獣の雛型を紹介したい。雛型とは、メインとなる造形物を作る前に作られる検討用モデルである。
造形担当者がミニサイズで作り、監督やスタッフがそれを見ながら意見を言い合う。だからとても大切な造形物になる。
ゴジラの撮影用スーツだが、顔はメインとなる造形師が作り、体は数人で作ったりしている。ゴジラの顔を彫刻した人は利光貞三さん、安丸信行さん、小林知己さん、若狭新一さん、品田冬樹さん、竹谷隆之さんの6人。
日本を代表するキャラクターを作った人達なのだから教科書に載せてもらいたいくらいだ。文科省のお偉いさん、いかがでしょう?
今回紹介するゴジラ雛形は二種類あり、まずは『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)に登場したゴジラ。造形は品田さん。
このゴジラの特徴は黒目がない。撮影用の対バラゴン用ゴジラスーツは今までのどのヌイグルミよりも大きく作られたのでスーツアクターを務めた吉田瑞穂さんは大変だったと思う。ちなみに吉田さんとはここ最近都内某所で頻繁にお会いしている。
このゴジラヘッドは、ラフに作られた雛型の頭を使い品田さんの手によってモールドが作り込まれた。DVDの『GODZILLA FINAL BOX』をHMVで予約購入した人に特典としてプレゼントされた。ソフビ製造はM1号。
『GODZILLA FINAL BOX』HMV予約購入特典には『ゴジラ FINAL WARS』(2004)の雛形ヘッドも付いていた。若狭さんが作った雛形はみぞおちまで作られているが、特典としてプレゼントされたものは肩のラインで真っすぐカットしソフビにしている。
『ゴジラ FINAL WARS』のゴジラは、スピーディーな動きをするためシャープな顔になっている。脚本によってゴジラの造形も変わるので、そこも面白いのだ。
品田さん造形の雛型ヘッド。これぞ本物の説得力。