6月26日、川勝平太静岡県知事は金子慎JR東海社長と会談、静岡工区内の水資源への影響を理由にリニア中央新幹線の工事を認めなかった。このため、当初予定されていた2027年の開通が困難となった。
中国はリニア新幹線に携わった約30名の日本人技術者を引き抜いて、自国でリニア新幹線を開発している。昨年11月14日の中国共産党系英字紙チャイナ・デーリーによると、時速600キロ以上での走行を予定している(日本のリニア新幹線の最速記録は時速603キロ)。
中国が日本の新幹線技術の知的財産を入手し、自国で開発したと言って世界に売り込んだように、日本のリニア新幹線完成が川勝知事の反対で遅れれば、リニア新幹線でも中国は日本に先んじて実用化し、世界に売り込むであろう。それによって日本の国際競争力はますます低下していく。このような事態になることを川勝知事は認識しているのだろうか。
軍事転用可能なリニア技術
日本の国際競争力低下だけではない。リニア新幹線の超電磁技術は軍事転用可能で、安価で連続発射が可能なレールガン(電磁加速砲)や、空母の電磁式カタパルト(航空機射出装置)に利用できる。レールガンと並んで次世代のミサイル迎撃手段となるレーザー技術も、大半が軍用技術であるにも拘わらず、日中学術交流を通じて中国に技術提供されていると、米中央情報局(CIA)の友人から警告されたことがある。
中国人民解放軍海軍の空母は一、二番艦とも航空機の発進をスキージャンプ方式で行っているために艦載機の搭載兵器や燃料が限られる。これが、米最新鋭空母ジェラルド・R・フォードに採用された電磁式カタパルトになれば、搭載戦闘機の兵装は極端に重装備化され、それによって自衛隊のみならず米海空軍の前方展開兵力も脅威にさらされることになる。
米国に亡命した中国海軍司令部元参謀の姚誠中佐は昨年、中国が先進国の先端技術を盗むことによって自動車、航空機などの産業を大きく発展させてきたと証言し、その技術の中に超電磁技術を特記していた。
自動車産業でも、トヨタ自動車が中国企業と燃料電池車を共同開発する合弁会社の設立を発表したが、中国側に提供される燃料電池技術は、浮上せず静かに潜航する潜水艦エンジンに転用できることを忘れてはならない。