ハーグ条約を徹底的に骨抜きに
1983年にハーグ条約が発効し、40年近くが経過。すでに90カ国以上が当時加盟していたハーグ条約に、あとから入ってきた日本が独自の「日本ルール」を条約のスキームに持ち込むというのである。まさに逆転の発想だ。
条約締結決定後、彼女らは与党となった公明党とその背後にある創価学会に近づき、ハーグ条約を徹底的に骨抜きにするよう国内実施法に細工をすることに作戦を変更した。
なお、人権派弁護士らは、内輪の機関紙では本音を漏らしても、公に「実子誘拐ビジネスを維持したいから」ハーグ条約を骨抜きにしたとは口が裂けても言わない。それに代わり、「DV」をおためごかしに言うのである。
2013年6月13日のしんぶん赤旗の報じるところでは、上記の吉田容子も参議院法務委員会で、「DVから逃れるために外国から子どもをつれて帰国した場合でも子どもが元いた国に戻されてしまう懸念がある」と言っている。
かくして、彼女らの作戦は大成功に終わる。そして、骨抜きになったハーグ条約の「穴」を教え、外務省の支援の下、引き続き国際間での実子誘拐を続けさせるよう日本人を唆す伝道師が芝池弁護士というわけである。
外務省と二人三脚、芝池弁護士の正体
芝池弁護士のプロフィールを見ると、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ理事であることがわかる。彼は、このNPO立ち上げ当初より、事務局スタッフとして国内外の様々な人権問題に取り組んできたそうだ。
そして、このNPOを率いているのは、ハーグ条約批准反対をNHKなどを通じて強硬に主張し続けていた伊藤和子弁護士。その人物の下で働いていた芝池弁護士が「ハーグ条約セミナー」を任されれば、「ハーグ条約抜け穴セミナー」になることは当然の帰結だろう。
不思議なのは、上記セミナーについて追及のあった法務委員会時の外務省の答弁である。外務省の山中修参事官は、このセミナーの目的を「子どもの連れ去り問題に関して多くの方々の正しい理解を促進し、子どもの連れ去りを未然に防止すること」と明確に示したにもかかわらず、「主催者の我々としては、こうした目的が達成されたものと期待しております」と堂々と答弁している。
上記の月刊『Hanada』の記事でも記載されているように、日本は「子どもの拉致国家」というイメージが、国際社会において定着しつつある。
そのようななか、外務省がハーグ条約の抜け穴を教え、実子誘拐を指南したセミナーを評価する答弁を国会で公式にしたことは、このような屈辱的なセミナーを自国でやられたフランスをはじめ、国際社会において大きな外交問題になる火種を作ったといえる。
外務省は、外交問題になるおそれがあるにもかかわらず、なぜ芝池弁護士をここまで擁護するのか。
芝池弁護士のホームページを見ると、外務省とのただならぬ関係が良くわかる。
芝池弁護士は、外務省の子の連れ去り事案に関する電話相談(ハーグ条約・パイロット事業)担当弁護士などを務めているほか、フランスの当該セミナーに先立つ2014年、在イギリス日本大使館主催の「ハーグ条約セミナー」の講師も務めている。国内においても、2016年から2017年にかけて、外務省主催の「ハーグ条約セミナー」の講師を計6回も務めている。
そして、このような実子誘拐指南の講演内容について、外務省がまったく把握していないとは思えない。実際、フランスのセミナーにおいては現地の領事部長も同席し、芝池弁護士を「その道のプロの先生」と持ち上げている。外務省と二人三脚で、「実子誘拐指南」セミナーを国内外で行ってきたのだと考えざるを得ない。