【独占手記】私を訴えた伊藤詩織さんへ「後編」|山口敬之

【独占手記】私を訴えた伊藤詩織さんへ「後編」|山口敬之

「あなたは性犯罪被害者ではありません。そして、自分が性犯罪被害者でない可能性があるということを、あなたは知っています」。2017年9月21日、検察審査会は「不起訴処分は妥当」との最終結論を出し、刑事事件としては完全に終結した――はずだった。しかし、9月28日、伊藤詩織さんは東京地裁に損害賠償訴訟を提起。沈黙を守ってき山口敬之氏が、ついに、口を開く――。「レイプ犯」と呼ばれ、社会から抹殺された男の、静かなる告白!(肩書は当時のママ)


ここまでは、「~に違いない」というあなた特有の思考パターンから、私を犯罪者と思い込むに至った流れを類推しました。
 
しかしこれから述べることは、アルコールという外的要因によって起きた、いわば不可抗力的なものではありません。事後、あなたの心の内部で時間の経過とともに深まっていった、不可解な「後付けの被害者意識」についてです。
 
あなたは記者会見で、「私はレイプされました」 「内側から殺されました」 「レイプは魂の殺人です」と、非常にエモーショナルに訴えた。

しかし、その激しい怒りと憎悪は、最初から一貫したものではなかったことを証明します。それは、事後のあなたの行動と発言を精査することによって、はっきりと浮かび上がります。
 
あなたは「給水タンクに寄りかかってから朝まで意識がなかった」という前提の下で、自分がレイプされたと朝の段階で確信し、口論の末に逃げるように部屋を出たと主張している。

しかし、あなたの翌朝の行動は、明らかにあなたの主張と矛盾しています。まずは翌朝のあなたの様子について、私の覚えている限り記述します。
 
1度未明に起きたあと、再び眠りに落ちたあなたは、朝になってもう1度起きた。そして、私とごく普通の会話をし、ごく普通にホテルの部屋を出ていった。途中、1回だけ英語で少し大きな声を出しました。

「I fucked without contraceptives.」(避妊しないでやっちゃったわ)
 
急に英語で大声を出し、しかもfucked というあまり上品でない単語を使ったので、私は違和感を覚えましたが、あなたがすぐに日本語に戻ったので、特に気にしませんでした。

日本語の会話は、通常の音量で平穏な口調で、その日の予定や今後の連絡の取り方など、差し障りのない雑談でした。「口論の末逃げ帰った」というあなたの主張は、事実とかけ離れています。

なぜ「レイプ犯」のTシャツを着て帰ったのか?

しかし、もしあなたが朝の段階で私にレイプされたと思っていたのであれば、絶対にしないはずの行動をし、絶対にしたはずの行動をしていない。

まず、絶対にしないはずの行動について説明しましょう。
 
朝起きてトイレから戻ってきたあなたは、浴室に干されていたブラウスを手に、
「ブラウスが少し生乾きなんだけど、Tシャツみたいなものをお借りできませんか」
 
あなたのブラウスは化繊の薄手のもので、朝までに相当程度乾いていたため、濡れて着用できない状況ではないように見えました。

しかし、私としては別に断る理由もなかったので、パッキング途中のスーツケースを指し、
「そのなかの、好きなものを選んで着ていっていいですよ」
と言いましたね。

あなたはスーツケースから、私のTシャツのうちの1つを選び、その場で素肌に身に着けました。覚えていないとは言わせません。

レイプの被害に遭ったと思っている女性が、まさにレイプされた翌朝、レイプ犯のTシャツを地肌に進んで身に着けるようなことがあるのでしょうか?
 
私はこのTシャツの末についても、捜査員に伝えました。そして、できれば返してほしいとお願いした。

しかし捜査員は、
「いまはまだ捜査の途中だから、物品の返却についてはもう少しあとで考えましょう」
と言われました。

結局、私はそのTシャツを未だに返してもらっていません。そのTシャツの存在を認めると、自分の主張の辻褄が合わなくなるからですか?

あなたは記者会見で、自分が受けたと主張する「被害」について、「レイプという行為は私を内側から殺しました。レイプは魂の殺人です」とまで表現しました。

そこまで言うのであれば、いまのあなたは、私のTシャツを素肌に身に着けることなど、おぞましくて決してできないでしょう。
 
それならば、「あの朝のあなた」と「いまのあなた」の感情は、全く種類が異なっていることは明らかです。すなわち、あなたの強い被害者意識は最初からあったのではなく、あとから時間をかけて醸成されたものだということになります。

毎日新聞 2019年9月11日
あの時と同じ服で、性暴力に抗議する「フラワーデモ」に参加

「レイプ犯」に送った「お疲れ様です」メールの謎

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