分析されているのが「自分(に近い人たち)」となれば、細かいところで「それは違う」「わかっていない」と感じるところもあるに違いない。だが、客観的に自分を眺めてみることも時に必要であるし、「左派」が自分たちをどのようにとらえているかを知ることも重要だろう。
本書の「おわりに」には、政治的立ち位置を異にする人同士の対話の可能性と、対立しながらも一緒にいることを諦めないためのヒントが述べられている。
お互いに「右派/左派となんて一緒にいたくはない」と思うだろうが、この日本で一緒に暮らす以上、互いの存在から影響を受けることは避けられないのである。そうである以上、「わかろうとする努力」はやはり必要不可欠だろう。
実は、読んでみて何よりも衝撃だったのは、そもそもの話になるが市民の政治的立ち位置を図る際に、アメリカとの関係がまったく考慮されていないことにある。これは調査主体である松谷氏が社会をそうみているという話ではなく、現在の日本社会において「日米関係をどう考えるか」が左右を分ける大きな軸にはなり得ないということを示しているのかもしれない。
あるいはアメリカとの関係をどう評価するか、日米安保体制や米軍基地について否定的に見る視点は、「左派性」の中にすっかり取り込まれてしまったのかもしれない。
「対米自立派右翼」を自称する筆者(梶原)としては何とも悲しい現実を突き付けられた思いだが、それでも諦めずに進むしかないのである。
ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。

