松原耕二氏:今の流れは、ここ数か月間続いていて、要するに「日本の国債はリスクがあるんじゃないの」と。だから選挙後の警戒感を含めて、いま日本の国債の買い手が少なくなっているといってもいい。日本はこれだけの借金を抱えた結果、今年度借り換え用の国債を136兆円発行しなければいけない。何かのきっかけで、この借り換えを買ってくれなくなってしまうと回らなくなってしまう。
企業が倒産する時というのは、借金が多いからではなくて、借り換えができない時に起きてしまうわけだ。ある専門家が、「国債は大丈夫だと共同幻想があるうちはいいんだと。ただこれが崩れると、国債の信認なんか一気に崩れ去りますよ」とおっしゃったのが、とても印象的だった。
こういうふうに言うと、すぐに「お前はザイム真理教だ」とか「財務省の回し者」だとかいろいろ言われてきたが、問題なのは、市場の警戒感が非常に拡がっていること。それが、政治家の議論を聞いていると、共有しているようには見えないということだ。
もちろん、過度に煽る必要はないけれども、少なくとも健全な危機意識を政治家にもってほしいと強く強く思う。
これは明らかに減税を主張する野党に対する批判です。松原耕二氏は、この問題に関して言えば、積極財政を進める左翼ではなく、財政タカ派の真正保守といえます(笑)。
そもそも、安倍晋三首相は積極財政の象徴であるかのように多くの人は誤解していますが、アベノミクスで安倍氏が主として行ったのは、「第一の矢」の金融政策であって、「第二の矢」の機動的な財政出動を実行した形跡はほとんど認められません。
それどころか安倍氏は、プライマリーバランスの黒字化という財政緊縮政策を実行しました。これをしっかりと実行したおかげで、コロナ禍において大規模な予算を機動的につけることができたのです。これは安倍氏の大きな功績の一つです。
日本は失われた30年で、どこの国よりも借金を恐れずに積極財政を展開してきました。