【読書亡羊】米国防次官が「クマよりドラゴンを警戒せよ」という理由  村野将『米中戦争を阻止せよ』(PHP新書)|梶原麻衣子

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その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


危機はどこからやってくるのか

日本に戦略がないと言われてきたのは、この「国際社会において日本はどのような国であるべきか」「そのために何をすべきか」という視点がなかったからだろう。

しかも日本では当事者意識がミクロな視点になりやすい。特にリベラル文脈では安全保障について語る書籍でも、「日米の一体化が危機を招いている」「日本が軍事社会化している」「石垣や与那国に自衛隊の駐屯地ができ、要塞化している」といった住民視点の指摘が目立つ。

それはそれで大事な視点であり、ある意味その通りなのだが、なぜそうなるのか、その外側で何が起きているかのマクロな視点も必要だろう。本書は村野氏との議論を通じて、アメリカの政策決定に影響力を持つ研究者らによるマクロな視点をも知ることができる。しかも税込み1100円で!

新書で本書が出版されたことを寿ぐとともに、書籍と関連した無料の動画(下記)も公開されているので、ぜひご覧いただきたい。

梶原麻衣子 | Hanadaプラス

https://hanada-plus.jp/articles/712/

ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。

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