アナウンサー:石破総理は米国が関税を引き上げた場合、報復措置を取るか問われると…
石破総理(VTR):仮定の質問にはお答えをしかねますというのが日本の定番の国会答弁でございます。
トランプ大統領(VTR):とても良い答えだ。ワォ!(会場笑)。わかっているじゃないか。
日本語の解釈では、石破総理が機転を利かせたジョークを使い、トランプ大統領も記者も大喜びのように理解してしまいますが、通訳を介した英語の解釈は違いました。
記者:Mister prime minister, the president’s affinity for tariffs is well known. If the US places tariffs on Japanese imports, would Japan retaliate?
(首相、関税への大統領の愛着はよく知られています。もし日本からの輸入品に米国が関税をかけたら日本は報復しますか)
石破総理(日本語=英語通訳):I am unable to respond to a theoretical question. That’s the official answer that we have.
(私は理論的な質問には答えられません。これが私たちの公式な解答です)
トランプ大統領:That’s a very good answer. Very good answer. Wow! That’s very good. He knows what he’s doing. Thank you very much, everybody. Thank you. Thank you.
(それはとても良い答えだ。とても良い答えだ。ワォ。とても良い。彼は彼がすることをわかっている。とてもありがとう、皆さん。ありがとう。ありがとう。)
なんと、石破氏の発言で「hypothetical questions(仮定の質問)」と訳すべき箇所を「theoretical question(理論的な質問)」と通訳が誤訳してしまったのです。その結果、トランプ氏は一瞬目が点になり、取り繕うように「とても良い答えだ」と繰り返しました。
つまり、石破氏は「理論的な質問に回答できない残念な首相」として、トランプ氏や記者から理解されてしまったのです(笑)。咄嗟のジョークがうけたと勘違いしている石破総理のドヤ顔があまりにも不憫です。まさに嘘のような本当の話です。
そしてさらに残念なことに、『サンデーモーニング』をはじめとする日本メディアは、この誤訳を指摘することなく、日本語目線でこのシーンを放映してしまいました。多分、誤訳に気付いていないのでしょう