デジタル大辞泉(小学館)によれば、「持ち上げる」とは「褒めておだて上げる」ことを意味します。「石破総理もトランプ氏を持ち上げます」というアナウンサーの指摘はまったくその通りであると推察しますが、よこしまな意図が介在する行動を報道が勝手に事実認定するのはどうかと思います(笑)。
確かに、銃撃直後のトランプ氏の振る舞いについて、石破氏が肯定的に語ったことは事実であり、膳場貴子氏が当時「すごくプラスのアピールにもなりかねないという感じがする」と否定的に語ったのとは対称的です。魂を抜かれて台詞を棒読みしているような石破氏の恐ろしく不自然な口調も気になるところです。ただ、持ち上げたかどうかは主観の問題です。
さらに石破総理が、MAGAに対して「忘れ去られた人に対する深い思いやり」と支持者へのアピールに繋がる言葉で表現したことについては、トランプ氏の心を鷲掴みにしたと推察しますが(笑)、これも持ち上げたかどうかは主観の問題です。
日本政府はうまく立ち回った
アナウンサー:会談後の共同会見では、こんな手土産も披露しました。
石破総理(VTR):私から対米投資額を1兆ドルという未だかつてない規模まで引き上げたいと(言った)。
アナウンサー:一方のトランプ氏は…
トランプ大統領(VTR):日本はまもなくクリーンな米国産液化天然ガスを歴史的な水準の量で輸入する。
アナウンサー:日本が米国からの天然ガスの輸入を拡大すると発表。そしてこんな問題意識も示しました。
トランプ大統領(VTR):日本との貿易赤字は1000億ドルを超えているが、直ちに解消するつもりだ。
アナウンサー:貿易赤字の解消に向け、日本に関税をかけてくるのでしょうか。

今回の日米首脳会談で日本政府は非常にうまく立ち回ったと考えます。
第一次トランプ政権時から指摘していますが、日本が対米貿易黒字を解消する大口の買い物は、国民生活に欠かせない天然ガスを世界一の輸出国で同盟国の米国から購入することに尽きます。日本は天然ガスの輸入について、リスク回避のために輸入先を分散させる政策を取ってきましたが、安定したヘンリーハブ価格をベースとする米国産天然ガスの輸入を長期契約できれば、エネルギー安全保障の観点からも願ったり叶ったりです。
勿論、これでトランプ氏による関税引き上げリスクを解消できれば一石二鳥といえます。