加藤登紀子氏:今日は太平洋戦争が始まった日だ。韓国の人の祖国が2つに分かれたことの悲しさは、いつもズキズキするほど感じて、やはり日本の戦争が始まったこと自体も悔しい。日本の戦争はなぜ始まったのかもよくわからない。
まず、大東亜戦争は、朝日新聞・毎日新聞による戦争報道に戦意を煽られた日本国民の民意によって始まったといえます。米国と戦えば負けると考えていた日本政府も、後ろに引くことはできない状態でした。
加藤登紀子氏:しかもどうしてこんなに終わらせることができなかったのか。終戦に持っていくプロセスが何もなく戦争が進んで1945年の原爆投下、ソ連参戦で戦争を引き延ばした。それがもしなかったら、もう少し早く戦争を終わらせていたら、朝鮮半島が二つに分断されることもなかったかもしれない。
安田菜津紀氏:日本の戦争責任と地続きで、その後の軍事独裁政権があって今に至るという連続性が凄く大事だ。
大東亜戦争が早く集結していれば朝鮮半島が分断されることはなかったというのは論理性に欠ける非常に偏った歴史認識です。
日本の敗戦と朝鮮半島分断はメカニズムとして不連続です。米ソによる世界の支配は日本の敗戦にかかわらず必然でした。安田氏の主張のように、前後であることを根拠に2つの事象に因果関係があると主張することを【前後即因果の誤謬 post hoc ergo propter hoc】といいます。
安田菜津紀氏:なぜか、この事態を受けて、日本の一部政治家から「日本にも緊急事態条項が必要だ」という勇ましい声が上がっている。今回突きつけられたのは、むしろ権力が瞬間的に、恣意的に肥大化することの怖さだ。むしろ今の社会に必要なのは、混乱に乗じて無理くりな主張を押し通そうとする権力側にどうやって歯止めをかけていくかだ。