「要するに」なんなんだ
寺島実郎氏:要するに、歴史の評価をかけて岸田氏としては大きく深呼吸して、自分は保守政治の何を背負って次に日本を進み出していくべきなのかということを残すべきラストタイミングに入っている。
「裏金問題」と「旧統一教会問題」に対して意見するはずであった寺島氏のコメントは、「アベ政治」「戦後民主主義」「岸田政権」「広島サミット」「アベノミクス」「保守政治」といった多種多様のキーワードを経由する壮大な展開を見せ、最終的に「岸田氏は大きく深呼吸すべき」という結論に落ち着きました(笑)。
この間に寺島氏は「別の言い方をすると」「要するに」「つまり」といった言い換えを示唆する言葉を連発しましたが、その都度、話はどんどん違う方向にズレて行きました。結局、寺島氏が何を言いたかったのか最後まで分からず仕舞いです。
ただ、私が見事と感心したのは、この壮大な思わせぶりコメントを満足げに終えた寺島氏に対して「そうですか」と一声をかけて軽く受け流した関口宏氏です。寺島氏の禅問答コメントを真面目に理解しようとしたら時間がいくらあっても足りません(笑)。
その後も別の話題で寺島氏の難解な禅問答コメントが続きます。
寺島実郎氏:SNSは新しいルール形成が必要な局面に来ていることは間違いない。一番僕が懸念しているのは思考の外部化に収斂する。要するに必ず検索エンジンから入るから視界が狭くなっている。何かと言うと自分の頭で考える力が衰えていく。
ここでも寺島氏は「要するに」「何かと言うと」といったように自分の言葉をわかりやすく言い換えようと試みていますが、残酷にもその都度さらに難解になって、手に負えなくなります。
現代人の情報取得環境は過保護なほど便利であるため、「自分の頭で考える力が衰えていく」という寺島氏の主張はわからなくはありません。
しかしながら、要するに、寺島氏の禅問答コメントの場合は、使われている言葉の概念があまりにも曖昧であり、何かと言うと、コメントの体をなしていないため、どこをどう解釈していいのか特定できず、寺島氏の更なる説明なくして、寺島氏の言わんとしたいことの趣旨を他人が一意に定めることは不可能なのです(笑)。