思わせぶりな概念をひたすら羅列
寺島実郎氏:別の言い方をすると、戦後日本の保守政治って何だったのか、国民としてもよく考える必要がある。根底にあるのは権力と金と票とで民主主義は動かせるという考え方が背景にある。
「別の言い方をすると」という言葉を聞いて、寺島氏がわかりやすく説明してくれるのではという一瞬の期待も無残に裏切られることになります。
話はますます発散して、どの概念とどの概念を対応させればよいのか、完全に置いて行かれることになります。
「アベ政治」を「戦後日本の保守政治」、「アベ政治の本質」を「権力と金と票とで民主主義は動かせるという考え方」と関連付けたと推察することもできなくはありませんが、そうであるとすれば、いずれも軽率過ぎる概括です。安倍総理は、独自の政策を掲げることで、正々堂々と民主的な選挙に勝ち続けたわけであり、その圧倒的な勝利にたった数億円の裏金や2万人ほどの統一教会の信者が介在していたとするなど陰謀論もいいところです。日本の有権者は1億人もいます。
また、票で政治が動くという考え方は、至極当然の民主主義の結果です。寺島氏は何を勘違いしているのでしょうか。
寺島実郎氏:戦後民主主義を愚弄しているが、一方国民もその仕組みの中に過剰同調していたことについてどう考えるか問われている。
ここでいきなり、やめときゃいいのに「民主主義」ではなくて「戦後民主主義」なる各個人によって解釈が異なる曖昧過ぎる概念が無節操に飛び出します。
寺島氏は、何が戦後民主主義をどうやって愚弄しているかを一切説明しないどころか、未定義の思わせぶりな概念をこれでもかと次々羅列して行きます。寺島氏の禅問答はますます深まっていくばかりです。
加えて、安倍自民党が国政選挙で圧勝し続けたことを「過剰同調」と表現しているのであれば、寺島氏はその根拠を説明する必要があります。個人の私見を自明な前提とするような言論のスタイルは明らかにルール違反です。