あえて、専門的にコメントさせていただきますと、一定のせん断応力下にある脆性材料において、せん断亀裂の破壊が連動するのは今になって判明したことではなく、マイクロメカニクスの常識です。
(*「せん断応力」については、下記リンク先を参照)
https://suumo.jp/yougo/s/sendanouryoku/#:~:text=%E7%89%A9%E4%BD%93%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E6%96%AD%E9%9D%A2%E3%81%AB,%E3%82%92%E3%80%8C%E3%81%9B%E3%82%93%E6%96%AD%E5%BF%9C%E5%8A%9B%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%80%82
このような破壊挙動は岩石の三軸圧縮試験におけるAE震源のローカリゼーションによって実際に確認されていますし、そもそも、いたる場所で観察可能な雁行裂罅(がんこうれっか)は離間した位置での亀裂の発生・進展の連動が普通に起きている明確なエヴィデンスです。
今回はそれがたまたま目視で確認されただけに過ぎません。
また、連続性に乏しい富来川南岸断層の延長が少々伸びたところで、今回の地震を引き起こした断層の長さには遠く及ばず、松田(1975)の経験式でマグニチュードと変位量を算出しても、その大きさは限定的であると考えられます。
現実の材料内における亀裂の発生・進展過程(疲労試験)
非常によくあるパターンですが、科学の専門家が、専門知識もない『サンデーモーニング』のスタッフに現象を科学的に説明したところで、完全に「馬の耳に念仏」です。
彼らは内容を理解できずに、説明の一節を理不尽に危険視して「波紋が広がっています」「新たなリスクが浮き彫りになりました」「大きな課題を突き付けています」などと社会の不安を全力で煽るだけなのです。
松原耕二氏:原発事故があった時の避難の問題。あれだけ道が寸断されていて果たして万が一の時に避難できるのか! この問題は想定外では絶対すまされない。
原発事故時の緊急時区域であるPAZ(5km圏内)で孤立はなく、UPZ(5~30km圏内)で400人が8日間孤立したものの、当面必要となる屋内避難が不可能な状況は報告されていません。
また、実際に事故が発生していれば、自衛隊をはじめとする救出作業が行われたことは想像に難くありません。道路が寸断されたときの避難のシミュレーションも具体的に行われており、けっして想定外ではありません。原子力規制委員会は「現在の指針や地域防災計画で対応できる」としています。
素人がいたずらに不安を煽るのは厳に慎むべきです。