【反論】「インボイス反対派を完全論破する」を読んで|笹井恵里子

【反論】「インボイス反対派を完全論破する」を読んで|笹井恵里子

『Hanada』2023年9月号に「産業を破壊するインボイス制度」を寄稿したジャーナリストの笹井恵里子氏。それに対し、10月号ではデービッド・アトキンソン氏が「インボイス反対派を完全論破!」と題し反論をしましたが、今回はさらに笹井氏がアトキンソン氏に再反論!


「経営者に甘い」

「経営者に甘い」ということについて、怒りをもちながら読みました。

「経営者」に甘いのではなく、「大企業」に甘いのではないでしょうか?

法人税の優遇措置で6兆円超といわれます。ソフトバンクGが納めた法人税はゼロ。

国民健康保険もそうですが、日本はむしろ自営業者に厳しいと感じています。

生産性が悪い小規模事業者であっても、数値には表せない社会貢献をしていると私は思います。

インボイス制度は足腰を弱くさせる

最後に。

私は普段、医療健康をテーマに記事を書くことが多いので、人の体にたとえると、人の健康の鍵は「腸」にあります。

腸には善玉菌、日和見菌、悪玉菌がいるとされてきましたが、決して「善玉菌のみ」を揃えることが腸にいいわけではありません。悪玉菌も時には必要で、「多様性がある腸が健康」ということです。

カメムシの体には、殺虫剤を分解できる腸内細菌がいるそうです。だからカメムシは殺虫剤をまかれても生き延びることができます。

足腰が強い国、企業というのは、いろいろな人がいる、ことではないのですか? どんなことにも対応できるからです。たとえば夜遊びする編集部員ばかりでは、通常の仕事が進みません。けれども、夜遊びする編集部員がいるからこそ時に大スクープがとれる。

インボイス制度は、一見、「善玉菌を揃える」という良いことのようでいて、多様性を認めない、足腰の弱い国に向かう政策ではないでしょうか?

笹井恵里子 | Hanadaプラス

https://hanada-plus.jp/articles/240

1978年生まれ。ジャーナリスト。日本文藝家協会会員会員。『サンデー毎日』編集部記者を経て、2018年よりフリーランスに。医療健康ジャンルを中心に精力的な取材を続け、週刊誌・月刊誌で多くの記事を執筆。著書に『徳洲会 コロナと闘った800日』(飛鳥新社)、『野良猫たちの命をつなぐ 獣医モコ先生の決意』(金の星社)など。最新刊は『野良猫たちの命をつなぐ』(中公新書ラクレ)。

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笹井恵里子

笹井恵里子

1978年生まれ。ジャーナリスト。日本医学ジャーナリスト協会会員。『サンデー毎日』編集部記者を経て、2018年よりフリーランスに。医療健康ジャンルを中心に精力的な取材を続け、週刊誌・月刊誌で多くの記事を執筆。著書に『徳洲会 コロナと闘った800日』(飛鳥新社)、『野良猫たちの命をつなぐ 獣医モコ先生の決意』(金の星社)など。最新刊は『実録・家で死ぬ 在宅医療の理想と現実 (中公新書ラクレ)。


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