このコメントは、テレビ局にとってアリバイ作りに資する「ありがたいお言葉」に他なりません。業界を監視するはずのBPOが業界を守るために全く機能していない中、当事者である民放各局が自分たちを合同調査したところで、不都合な事実の核心が得られないことは自明です。テレビ局に必要なのは自己点検ではなく、第三者委員会による客観的調査です。
見て見ぬフリを「した」のではなく「させられた」
渡部カンコロンゴ清花氏:企業がスタンスを明確にしていることは、苦渋の決断もありながらと思うが、それ自体は重要なことだと数週間見ていた。ただ、いざ、皆で「相手を叩いていいんだ」となった時に、皆で叩いて、むしろ今こうやって声明を発表しない方が叩かれてしまう立場になった時にそこにはじめて乗れるようになるわけだが、そこで終わるのではなくて、皆が忖度していた時、メディアも一緒にと思うが、忖度に乗っちゃった。これはダメだと判断ができなかった。
そこにどんな構造があったのか、社会全体で明らかにしていかないと同じことが繰り返されてしまう。被害者が記者会見で何回も述べていた「触れてはいけない空気」というものが何だったのか。大人の事情がそこにあるんだというのが、なんとなく放置してきたものが何だったのかということを、自分自身とか自らの所属組織だったりとか、そこについて批判したり検証したりするのは簡単ではないと思うが、今を生きる私たちはそこに向き合うことがそれぞれの立場から必要がある。
高橋純子氏:企業や自治体が人権侵害を許さないという強い態度を示していることについては評価できる。ただ、契約停止とかに一斉に雪崩を打つことに対しては一抹の懸念を持つ。海外メディアが報道するまで皆、見て見ぬフリをしてきた。その裏返しの姿だ。一部、取引を継続しながら人権侵害の解決を図るようにジャニーズ側に働きかけて行くという企業もあるのでそういう企業についても評価したい。やはり、二度とこういう問題を社会として起こさないためにはどうすればよいかということを、流されるのではなく、自分の頭でしっかり考えて行動していくと。これをメディアにいる私自身も問われていると受け止めている。
まず、数百人の未成年への性加害を許容した企業に対して、一般企業が広告契約を打ち切ることを「皆で叩く」「一斉に雪崩を打つ」と表現するのは極めて不当です。
海外メディアが報じるまで一般企業や国民は「見て見ぬフリをした」のではなく、日本のテレビや高橋純子氏が属する朝日新聞などが人権を軽視して事実を追求しなかったことで、ジャニー喜多川氏の「性加害疑惑」は都市伝説化し、結果として「見て見ぬフリをさせられた」のです。
そもそも、ジャニー喜多川氏の「性加害疑惑」に対して、犯罪に対する調査能力を持たない一般企業や国民が「性加害」を認定するのは事実上不可能です。証拠なく個人を断罪することは差別に他ならないからです。
莫大な広告料を支払って、不本意にも性加害に協力させられた一般企業や国民は、ジャニーズ事務所とテレビ局に騙された被害者であり、今回ジャニーズ事務所が性加害を認めた事実をもって、企業イメージを破壊する広告契約を打ち切るのは当然の行動です。
ちなみに、高橋純子氏が所属する朝日新聞社もジャニーズ事務所との新規契約を見合わせています。